VAIO Column
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(2005/06)


[ Podcast ] 2005/06/29(Wed)
Apple が iPod の新機種を発表。
ニュースリリース
http://www.apple.com/jp/news/2005/jun/28ipod.html
AV Watch の記事
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050628/apple2.htm
新機種といっても、従来モデルの 20GB をカラー液晶化し、旧 iPod photo 60GB モデルとともに Podcast に対応させた程度の違いで、それ以外の仕様は特に変更されていません(iPod photo 30GB は廃止)。1.8inch HDD タイプの iPod が全てカラー液晶になったことで「iPod photo」のブランドも廃止され、今後は全て「iPod」として統一されるようです。なお、60GB モデルは従来に比べ \4,000 値下げされ、\45,800 となりました。このほか、iPod shuffle の 1GB モデルも値下げされ、\14,980 となっています。

今回の iPod の目玉は、液晶のカラー化よりもむしろ Podcast への対応にあると言えるでしょう。
ニュースリリース
http://www.apple.com/jp/news/2005/jun/28itunes.html
MYCOM PC WEB の記事
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2005/06/28/016.html
Podcast とは簡単に言ってしまえばネットラジオのひとつなのですが、一般的にネットラジオとはストリーミング配信であり保存ができないことが前提で、その点では従来の AM/FM ラジオと同じでした(違いといえばオンデマンドかどうか、というところでした)。が、Podcast は保存(ダウンロード)することが前提で、いつでも聴けること、iPod などのポータブルプレイヤーで聴けることがポイントであり、blog と同様に RSS を利用して更新状況を把握できるという特徴を持っています。少し前の WBS では、個人が Podcast を利用して音声を「発信」することで個人でもラジオ局を持てることになり、いずれは「ポスト blog」としてブレイクする可能性がある、と指摘されていました。
「Podcast」という名称はもちろん「Pod(=iPod)」に音声を「cast(=配信する)」こと、つまり iPod などで「いつでも、どこでも」ネットラジオを聴くことに由来しています。これまでは Podcast を iPod に取り込むには iTunes 向けのサードパーティ製外部ツールを利用するしかありませんでしたが、これがいよいよ iTunes 本体に搭載されたことになります。

ポータブルプレイヤーでラジオ、といえば、最新のウォークマン スティック(NW-E500 シリーズ)だけでなく、多くのアジア系ブランドのポータブルプレイヤーでも FM チューナ内蔵モデルのラインナップが増えてきている、というのがここ最近の状況でした。カセットテープ時代が終わり、MD の時代になってからはチューナ内蔵のポータブルプレイヤーも絶滅に近い状態になっていましたが、ここにきてチューナ内蔵が再び見直されていることは、同じくラジオ的な機能を内蔵した Podcast 対応 iPod(iPod シリーズの旧モデルでもファームウェアアップデートにより Podcast 対応が可能)の追い風になることでしょう。私も NW-E507 を購入してからはときどきラジオを聴くようになりましたが、気に入った番組のない時間帯にラジオを「タイムシフト」できればもっと楽しめるだろうな、とは考えていました。
日本ではまだまだ Podcast を配信しているサイトも少ないでしょうが、(これは Podcast に限らずネットラジオ全般に言えることですが)ある意味 Podcast は国境を越えることができるメディア。海外のプログラムに面白いコンテンツを見つけることができるかもしれませんし、ABC や ESPN のプログラムを語学学習に利用するという手もあります。私も最近利用頻度が落ちている iPod mini を Podcast 用に切り替えて楽しんでみようかな、と考えています。
ちなみに、Podcast に対応した iTunes 4.9 は現在 Mac 版のみが公開されており、Windows 版は近日公開となっています。


[ HD DVD ] 2005/06/27(Mon)
vodafone のソニエリ製端末「802SE」で不具合が発覚。特定の操作をした際に再起動するなどの不具合があることが明らかになりました。
ケータイ Watch の記事
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/24497.html
とはいっても、この不具合個人的には既に 2〜3 ヶ月前に聞いていたんですけどね。飲みの席で「こうすると勝手に再起動するんだよ」といって実演を見せてもらったことが(ぉ
この他にも日本の携帯電話ユーザーにはあまりにも違和感のあるソフトウェアインタフェースや、(SIM カードならまだしも)本体の電池カバーを外さないと出し入れできないメモステ Duo スロット(ぉ など、何かと悪評の高い端末であったことは確かです(これは、802SE に限らずシャープ製以外の vodafone 3G 端末全体に言える話ですが)。
ともあれ、VAIOethics の読者の中にも 802SE ユーザーの方は少なくないでしょうから、対象の方は一度 vodafone に問い合わせてみることをお勧めします。ただ、ソフトウェアアップデートの予定は未定らしいですが(´д`)。


Microsoft と東芝が HD DVD プレイヤーの開発で協業することを発表しました。
AV Watch の記事
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0506/27/news061.html
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0506/27/news088.html
ITmedia の記事
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050627/mstoshi.htm
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050627/hddvd.htm
一般のニュースでも取り上げられていたくらいなので、業界に限らずかなりインパクトのあるニュースだったのではないかと思います(ま、インパクトが大きかったのは MS のゲイツ CSA が来日しての発表だったせいでもあるのでしょうが)。とはいえ、内容の大筋は事前に明らかになっていたものですが、Blu-ray 陣営と HD DVD 陣営が次世代 DVD 規格統一の交渉で決裂した直後の発表であるだけに、両メディアの今後に与える影響は少なくないものと思われます。
協業の大まかな内容としては、Windows CE をベースとした HD DVD プレイヤーの開発を検討すること、DVD フォーラムのインタラクティブ機能仕様「iHD」(国内に文献がほとんど見つからないこともあり詳細は不明ですが、現在の DVD の付加機能のようなものか、ネットワークを利用した現在のデジタル放送のインタラクティブ機能のようなもの?)に関する協業を行うこと、となっています。これに加え、東芝が年内をめどに発売予定の HD DVD プレイヤーが Intel 製 CPU とチップセットをベースとすることが明らかになっています。
Microsoft と次世代 DVD との関わりについては、Microsoft のビデオコーデック「VC-1」(旧称 VC-9:Windows Media Video 9)が HD DVD の必須コーデックのひとつに採用されたのに後追いする形で BD-ROM の必須コーデックに決定された経緯もあり、HD DVD(東芝)側が Microsoft へのアプローチでは先んじていました。これにより、Longhorn など Microsoft のサポートは HD DVD 寄りになるのでは、という見方もありましたが、まさにその通りになった形です。

しかし、今回の発表は次世代 DVD 規格統一の交渉決裂後の発表としてはかなり影響力の大きなものだったのではないでしょうか。先週の就任記者会見でも改めてソニー中鉢新社長より HD DVD の規格統一に対する意欲が語られたばかりですが、このタイミングで影響力の大きな企業が片方の陣営につくということは、東芝が(今後も交渉が続けられるのであれば)統一交渉をより有利に進めるためのカードとして利用しようとしているか、もはや統一が困難なものになってしまったことを意味しているような気がしてなりません。
一時は「ユーザー本位の」統一規格に向けて舵を切ったように見えた次世代 DVD ですが、果たしてこれで「ユーザー本位の」未来が訪れるのかどうか。HD DVD は先月、Blu-ray に対する容量面でのディスアドバンテージを克服するため、片面 3 層化による 45GB の HD DVD の技術発表も行われましたが、片面 3 層って 0.1mm 厚保護層よりもよっぽど無理があるような(´д`)。両陣営の初の ROM プレイヤーが共に発売されるといわれる 2005 年末まであと半年、(単一機種としては)おそらく最大の BD-ROM ドライブ搭載製品となるであろう PLAYSTATION 3 の発売まであと 1 年という段階での、この状況。またしても、歴史は繰り返すのでしょうか。


[ Musical Baton ] 2005/06/23(Thr)
ソニスタでウォークマン スクエア「NW-HD5」のオリジナルデザインモデル 2 機種が発表になっています。
You are the NEXT! Project
http://www.jp.sonystyle.com/Walkman/Special/Next/
AV Watch の記事
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050623/sony2.htm
春にやっていた YUKI・ASIAN KUNG-FU GENERATION とのコラボレーションモデルの続編、といったところでしょうか。違いといえば、春はプレゼント企画だったのに対して今回は限定販売であることと、今回のモデルは背面だけでなくフロントにもデザインが施されていることでしょう。このデザインを担当されたお二方のことはよく分かりません(^^;;;

ソニーのネットワークウォークマンについて書かれた本田雅一氏のコラム。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0623/mobile296.htm
これまでのネットワークウォークマンに関しては明らかに否定的であった同氏ですが、現在のネットワークウォークマン(初代から本質的な変化のないウォークマン スクエアはともかく、ウォークマン スティック)に触れ、ハードウェアに関してはよくできている、と評価しています。
一方で、ウォークマンのプラットフォームを支える SonicStage に関しては、まだまだ単なる「リッピングして転送するツール」から脱却できておらず、音楽ファイル管理のしやすさや EMD サービスとの連携という面で iTunes に後れを取っており、トータルでは新しいユーザーエクスペリエンスを提供できていない、と指摘しています。
しかし、コネクトカンパニーの組織としての改善は進んでおり、SonicStage(いずれは別名称のアプリケーションになるかもしれない)を大幅にレベルアップさせる計画がある、という話も挙がっています。現在のウォークマンの好調は、ウォークマン スティックのハードウェアとしての良さとプロモーションの分かりやすさだけに牽引されている部分が大きいですが、ソフトウェアの改善や HDD タイプの根本的な改良などを着実に進め、少なくとも「iPod かウォークマンか」という比較をされるレベルには復活してほしいところですね。


ところで・・・例に漏れずウチにも Musical Baton が来てしまいました(Clio さんより)。
この手のチェーンメール系のお遊びは苦手な方なんですが、友達から回ってきたのでとりあえず答えておかないと(^^;そういえばこの Column でもオーディオ製品のインプレ等をよくやる割には、自分の音楽の趣味について書いたことってほとんどなかったので、良い機会かな。

【コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量】
自作機で使っている SonicStage の方は 2,520 曲/10.1GB でした(全て ATRAC3 132kbps)。Mac mini の iTunes に入っているのは 2,003 曲/10.6GB(全て MP3 160kbps VBR)。ライブラリの中身はほとんど共通なので、二重管理になってしまっている訳ですが、SonicStage はネットワークウォークマンへの転送に必要だし、iTunes は iPod mini への転送や AirTunes の操作に必要なのでこうせざるを得ません。
入っているのはほとんどが R&B、ソウル、ゴスペルなどのブラックミュージック系。それに加えてジャズやファンクが少々、というところかなー。日本の音楽はまず聴きませんね。

【今聞いている曲】
John Legend / Ordinary People
去年買った CD ですが、半年以上経った今でもヘビーローテに入ってます。このアルバム(『Get Lifted』)は前半のアップもいいですが、後半のゴスペル/ソウル的な作風の方が本人の持ち味なのかな。ピアニストでもあり、ピアノ弾き語りのこの曲は特にお気に入り。

【最後に買った CD】
Eric Benet / Hurricane
1996〜1999 年に「ニュー・クラシック・ソウル」の代表的アーティストの一人としてヒットを飛ばしながらも、2001 年に映画『The Brothers』のサントラへの参加を最後にリリースがなかった Eric Benet の 6 年ぶりの新作。当時は来日公演に行くくらい好きだったので復活のニュースを聞いたときには嬉しかったですねー。ちなみに女優ハル・ベリーの元旦那さんでもあります。
そういえば去年あたりから Myron、Keith Martin、N2U など '90 年代後半に活躍しつつも消えていった(と思われた)アーティストの復活が続いているような気がしますが・・・。

【よく聞く、または特別な思い入れのある 5 曲】
1. Joe / All The Things (Your Man Won't Do)
とてもとても切ないラヴ・ソング。といってもブラックミュージック的な切なさですが。この曲に限らず Joe の 2nd/3rd アルバムは胸にじわーっとくるような名曲揃いだと思います。切ない系だと Brian McKnight や Jagged Edge のバラードなんかもしょっちゅう聴いてますね。

2. K-Ci & JoJo / All My Life
最近はこの二人の人気も落ち込み気味みたいですが・・・やっぱりこの曲だけは褪せないですね。昔から歌い上げる感じの男性ヴォーカル&コーラス系の曲が好きなんですが、ここ数年は男性のデュオやグループは下火みたいで寂しい限りです。

3. Gerald Levert & Tamia / (They Long To Be) Close To You
カーペンターズの超有名なタイトルのカバー。アレンジが原曲とは全く違う、しっとり・ねっとり(ぉ な大人の雰囲気になっています。デュエットですが Tamia の透き通るような声もまたいい。部屋を暗くして聴きたい曲です。

4. Grover Washington Jr. / Just The Two Of Us
ジャズヴォーカルの有名なタイトル。ジャンルを問わず多くの人にカバーされている曲です。私もオリジナルより先に Toshi Kubota(久保田利伸)が Caron Wheeler とデュエットしているバージョンから入りました。自分のバンドでもカバーしてやったことのある、特にお気に入りの作品です。

5. The Stylistics / Betcha By Golly, Wow
The Stylistics といえばどちらかというと『You Are Everything』の方が有名でしょうが、私はこっちの方が好きですね。高校の頃、ラジオの深夜放送で当時デビュー間もなかった頃のゴスペラーズがカバーしていたこの曲を聴いたのが、自分でもソウルや R&B をやってみよう、と思ったきっかけでした。

【バトンを渡す 5 人】
・・・といっても、バトンを渡せそうな人には既にほぼ行き渡っているような(^^;まだ回っていないのは shunmi さんくらいですが、この人は、まあ、ラルクなんでしょうね(ぉ

という感じで、興味のない人には何の役にも立たないたわごとでしたが、分かる人だけ分かってください(笑)。ネタもなかったしいいタイミングで振ってもらえました(ぉ
ちなみに、私のハンドルネームの由来になった曲も SonicStage のライブラリには含まれていたりします。


[ D-cubic ] 2005/06/17(Fri)
最近ネタ不足に陥っている(笑)この VAIO Column。6 月に入ってからはソニーの新製品発表もありませんが、既に多くの企業でボーナスが支給されたこのタイミングでは新製品の発表を期待するべくもありません・・・強いてニュースを挙げるならば、ソニー製品の一部で 2GB 超のメモリースティック PRO 使用時に不具合があることが明らかになったくらいでしょうか(ちなみに現存する 2GB 超のメモリースティックは SanDisk が海外で発売している 4GB のモデルのみで、国内には流通していないものです)。

こんな中で、話題になっているのがこのニュース。
ニュースリリース
http://corp.livedoor.com/pressroom/pressrelease/content?id=690
最近はマスコミを賑わすこともほとんどなくなった Livedoor が開始する新サービス「D-cubic」。今年の 7 月末から試験サービスを開始、10 月からは本サービス開始するという公衆無線 LAN 接続サービスです。公衆無線 LAN というと NTT コミュニケーションズが提供する「HOT SPOT」をはじめとするホットスポットサービスが既に存在しますが、これらの既存サービスと違うのは初期費用 \1,050・月額 \525 という圧倒的な低価格設定と、これまでの公衆無線 LAN がサービスエリアを「点」で提供する、いわゆる「ホット『スポット』」であったのに対し、D-cubic は(当初は)東京の山手線圏内 80% という広域をカバーする、言ってみれば「ホット『エリア』」とでも言うべきサービスであることです。
これまでのホットスポットサービスは駅や喫茶店、ファストフード店などを拠点に点と点を結ぶ形で徐々に広がってはきましたが、とても「普及している」とは言える状況ではないことは、皆さんもご存じでしょう。が、(当面は山手線圏内という限られたエリアとはいえ)ある地域を「面」でカバーできるサービスを、多くのユーザーをカバーし得る価格帯で提供できれば、それは新しいインフラになり得ます。D-cubic を Yahoo!BB になぞらえて紹介する記事も多数見られますが、ノート PC や PDA に限らずゲーム機などにまでワイヤレス LAN 機能が標準搭載されるようになった今では、D-cubic がモバイル機器に新しいアプリケーションを呼び込む可能性は限りなく高いと言えます。普通に考えても、LocationFreeTV のようなアプリケーションがようやく本当の意味で活躍できる環境が整うわけですし、ポータブルオーディオだって(著作権保護の仕組みは別途考える必要がありますが)わざわざ大容量の HDD やメモリを内蔵しなくても、ネットワーク経由で直接自宅のライブラリから音源を取り出せばよくなるわけです。

もちろん、D-cubic も当面は既存の無線通信(もちろん 2G/3G ネットワークや PHS)との競合は避けられないでしょう。とはいえ、ワイヤレス LAN は携帯電話や PHS がほぼ克服してきたハンドオーバー(通話中の移動による基地局切り替え)の問題に対する答えを現状では用意できていないため、その解決策が見いだされるまでは D-cubic も「立ち止まったとき」の通信手段にすぎません。歩きながら、や、自動車で移動しながら、というケースはともかく、全ての電車に無線 LAN のサービスが導入されるようになれば、「立ち止まったとき」と「電車に乗っているとき」に通信ができれば十分、というユーザーは少なくないでしょうから、ハンドオーバーはさておき山手線(と圏内を走る主要路線)の車両をカバーできればさらにユーザーは広がるかもしれません。
個人的には、ちょうど今月で AIR-EDGE の年間契約が切れたこともあり、ここ一年特に利用頻度の落ちている AIR-EDGE(使い放題コース)を従量課金制に切り替えるか、それとも Bluetooth 内蔵の 3G 端末あたりに乗り換えるか、と考えてもいたので、D-cubic がサービス開始されたらすぐにでも利用したいくらい。実は、先日ワイヤレス LAN を内蔵したある携帯端末を入手したこともあり、ちょうど EDGE よりも公衆無線 LAN サービスに興味が移っていたところだったんですよね。試験サービスが開始されたら、早速申し込んでみようと思います。


■記事リンク
BroadBand Watch の記事
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/9973.html
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/9985.html
PC Watch の記事
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0616/mobile295.htm
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0617/config058.htm
ITmedia の記事
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0506/15/news046.html
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0506/15/news090.html


[ EX-S500 ] 2005/06/09(Thr)
カシオから薄型デジカメの元祖「EXILIM」のニューモデルが発表されています。
ニュースリリース
http://www.casio.co.jp/release/2005/ex_s500.html
デジカメ Watch の記事
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/compact/2005/06/09/1698.html
光学ズーム搭載で業界最薄の座は Cyber-shot T7 に奪われた今でも、「薄型デジカメといえば EXILIM」のイメージをうまく保ち続けている同社の最新作。本体サイズや CCD 画素数に関してはそろそろ頭打ちの感もありますが、美しく撮れる機能に関しては現在のトレンドをうまく取り入れて完成度の高い製品を投入してきました。
EXILIM ブランドはこのところ、「薄くないけどハイスペック」な EXILIM PRO シリーズと「そこそこ薄くてズームも搭載」な EXILIM ZOOM シリーズに主軸を移していて、本来の EXILIM の系譜である EXILIM CARD シリーズに関してはやや力が薄くなっている感がありました。その間に「スリム・大画面」の Panasonic LUMIX FX シリーズにシェアを奪われてしまっていましたが、今回の EX-S500 はそのシェアを奪い返そうという気合いが感じられるモデルになっています。
有効 500 万画素 CCD、光学 3 倍ズーム、2.2 型液晶モニタ、薄さ 16.1mm(最薄部 13.7mm)・重量約 115g というスペックには突出したものこそありませんが、LUMIX よりも薄くコンパクトで扱いやすそうなバランス。Cyber-shot T1 よりも薄いボディと LUMIX に匹敵するスペックを兼ね備えた、と表現していいかもしれません。レンズに関しては、沈胴式のため起動時間は多少かかるでしょうが、Cyber-shot T シリーズの屈曲光学系よりは明るいため(テレ端では F5.2 と T1 より暗くなりますが)根本的な暗さはあまり感じられないと思われます。
また、この EX-S500 ではムービー撮影機能にもフォーカスしており、VGA(640x480)サイズで 30fps の MPEG-4 ムービーが撮影可能であることが大きくアピールされています。このクラスのムービーについては Cyber-shot をはじめ他メーカーのデジタルスチルカメラでは既に実現されていたことですが、約一年前に発売された旧モデル「EX-S100」では QVGA(320x240)サイズで 15fps の Motion JPEG 記録しかサポートしていなかったことを考えると、ようやくライバルにキャッチアップできたと言えそうです。また、デジタルスチルカメラでもヘタな DV カメラ並みのクオリティで動画が撮影でき、その機能を利用することは今日では比較的ポピュラーなものになった、ということなのかもしれません。

そして、何よりこの EX-S500 で特筆すべきは、CCD が ISO1600 の超高感度をサポートしたことでしょう。これにより、光量の稼げないシーンでは ISO 感度を高くすることでシャッタースピードを挙げることができ、暗がりでもブレにくい・夜景が美しく撮れるといったメリットを享受できることになります。
実はこの「超高感度」という特長は、この春から発売されている「FinePix F10」が先駆けて搭載し、現在のコンパクトデジカメのトレンドとなりつつあるものなんです。首都圏では春頃に電車の中吊りでディズニーのタイアップにより「夜景や暗いところでもこんなにキレイに撮れる」ことをアピールする広告が印象的だったのを憶えている方も少なくないでしょうね。
最新の BCN ランキングによると、
http://bcnranking.jp/ranking/02-00002486.html
安定した人気を誇るキヤノンの 2 製品に続く 3 位。今年の 3 月発売ながら、第 1 四半期の台数シェアでも 4 位につけており(とはいえ、ソニーの DSC-T33 や松下の DMC-FX7 などはカラーごとに別モデルとしてカウントされているため、多少割り引いて考える必要がありますが)、この「超高感度」が確実に市場に認知されていることを証明しています(もちろん、F10 の成功にはディズニー効果が働いたことも確かでしょうが)。
これを追うように、先月発表されたのがオリンパスの「μ DIGITAL 800」。こちらも ISO1600 の超高感度撮影に対応し、感度を高めてもノイズが少ない画像が得られることに加え、FinePix F10 に勝る 800 万画素 CCD をセールスポイントとしています。もちろん ISO 感度を上げるということはそれだけノイズを拾いやすくなることを意味していますが、そこは記録系のアルゴリズムで極力ノイズを抑える(それでも ISO1600 撮影時には従来の ISO400 撮影時程度のノイズは載るもよう)工夫がなされており、そのあたりは FinePix F10 や EX-S500 でもほぼ同様の仕組みを備えているとみていいでしょう。
コンパクト化・薄型化に伴う CCD や光学系の縮小により「ブレやすい」という問題を慢性的に抱えるようになった近年のデジタルカメラは、松下の LUMIX が着手した光学手ブレ補正機能の搭載をきっかけに光量不足への対応に傾きました。いっときはどのメーカーも松下に追随して手ブレ補正機能を搭載してくるかと思われましたが、ジャイロを搭載する必要がある(=本体サイズに影響する)手ブレ補正の搭載よりもソフトウェア的な調整と画像補完技術で「無理矢理シャッタースピードを高める」超高感度撮影というアプローチが主流になりそうです。

一方で、まだ DSC-H1 にしか手ブレ補正機能の搭載実績がない Cyber-shot。高倍率ズーム搭載の H1 はさておき、コンパクト機では最新の DSC-T7 でも光学系には手を入れられていません。昨日デジカメ Watch に掲載されていた DSC-T7 開発者インタビューでも、
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/compact/2005/06/08/1611.html
T7 の開発コンセプトは「光学 3 倍」「2.5 型液晶」「最薄部 10mm 以下」といった 3 つの数字ばかりが目標とされ、画質や使い勝手については二の次ともいえる内容になっています(それでも最薄部 10mm 以下というサイズに T1 と同等の光学系・CCD を詰め込めたのは確かに特筆に値するとは思いますが)。数字上のインパクトと見た目のインパクトは重要ですし、「軽薄短小」こそソニーの「ソニーらしさ」のひとつではあると思いますが、やはり手ブレ対策というトレンド(「トレンド」というよりも、残したい思い出がブレて残らなかった、という悲しさを考えればそれはむしろ「必須機能」と言っても過言ではない)を押さえなくては、Cyber-shot はライバルに後れを取る一方ではないでしょうか。BCN による最新のメーカー別ランキングではキヤノン、カシオ、富士フイルム、松下に次ぐなんと 5 位。ある意味 DSC-T7 しか目玉のない現在のラインナップではこれが精一杯なのでしょうが、そろそろ一度ラインナップの見直しを図る時期にきているのかもしれません。上位メーカーが持ち、ソニーが持っていないのは、手ブレ対策をもつ機種か、デジタル一眼レフ。これが意味するところは、さて・・・。


[ Intel Inside ] 2005/06/07(Tue)
6/6(現地時間)より米サンフランシスコで開催されている WWDC 2005 にて、Apple が 2006 年より Intel 製プロセッサを採用することを発表しました。
ニュースリリース
http://www.apple.com/jp/news/2005/jun/07intel.html
Apple 系イベントの例に漏れず 1〜2 週間前から信憑性の高い噂として流れていたこの情報ですが、Macintosh への Intel 製プロセッサの採用についてはかなり以前から幾度となく噂として上がっていたもので、今日ようやくそれが現実のものとなったことになります。
Macintosh の歴史としては、1994 年にそれまでの Motolora 製の CISC プロセッサ「680x0」シリーズから IBM と Motolora が共同開発した RISC プロセッサ「PowerPC」シリーズにアーキテクチャ転換を行ったこと、2001 年にそれまでの Mac OS という独自 OS から UNIX(BSD)をベースとした OS X に移行したこと、に続く 3 度目の大きなターニングポイントとなります。1 年後の 2006/6 までに最初の Intel Inside Mac を発売し、2007 年末までには出荷される全ての Macintosh 製品を Intel ベースにする、というのが切り換えのプランになっているようです。
一方、Macintosh 向け CPU としては Intel にリプレースされてしまう PowerPC プロセッサの方は、Apple 向けの出荷は収束していく形になりますが、PowerPC の元となった「POWER」プロセッサ自体は今後も IBM 製サーバ/ワークステーション等に採用され続けるほか、Microsoft の次世代ゲームプラットフォーム「Xbox 360」では PowerPC ベースのカスタムプロセッサが採用され(あまつさえ現在の Xbox 360 のゲームデモは PowerMac G5 で動作しているらしい)、ソニーの PLAYSTATION 3 に使われる Cell プロセッサの SPE(演算ユニット)は POWER アーキテクチャとなるようですから、PC を中心とした汎用コンピュータのプロセッサは IA(Intel Architecture)、サーバやゲームコンソールといった(どちらかというと)特定用途向けのパフォーマンスプロセッサは POWER、といった棲み分けになっていきそうな気配があります。見方によってはそれまで Intel と二人三脚の関係にあった MS が Xbox で POWER を採用し、それとほぼ同時期にそれまで POWER アーキテクチャと共に歩んできた Apple が Intel と手を結ぶというのは、なんとも皮肉な事実ではないでしょうか。

Macintosh のアーキテクチャの歴史は、PowerPC への移行時に PCI という PC と共通のバスアーキテクチャを取り入れ、その後 USB や IEEE1394、DVI といった PC と共通のコネクタインタフェースを採用し(USB も IEEE1394 も普及の先鞭をつけたのは Mac の方が先だった、という反論はあるかもしれませんが)、さらには IA プロセッサとも親和性の高い BSD ベースの OS を標準とするなど、次第に PC に近いアーキテクチャへと歩み寄ってきた歴史と言えるかもしれません。しかし、マーケティング面では、IA プロセッサと違ってなかなかクロックアップを達成できない PowerPC プロセッサを弁護する意味も込めて、Macintosh と PC の性能を単純にプロセッサ周波数で比較させず、「Photoshop ベンチマークでは○○○MHz の PowerMac の方が×××MHz の Windows PC よりも高速」といったプロモーションを行ってきました。つまり、これまではプロセッサ周波数あたりのパフォーマンスであったり、マルチメディア処理に特化した処理性能で Windows PC との差別化(Windows PC は Macintosh と違って事務機上がりの野暮なコンピュータだ、といった揶揄も少なくありませんでした)を行ってきていたのが、一転して Intel CPU を採用するに至った、というわけです。
Apple がコンピュータの根幹ともいえる CPU のリプレースを決定した理由はいろいろ考えられますが、やはり直接的な原因として考えられるのは、なかなか向上しなくなったプロセッサパワーと、逆にどんどん高くなる CPU の消費電力/発熱に PowerPC では耐えられないから、ということがあるでしょう。コンシューマ向けとしては早い時期からデュアルプロセッサ製品をラインナップしてきた PowerMac では、PowerPC のシングルプロセッサでは(用途によっては)パワー不足に陥るようになってきたこと、逆に増加する消費電力/発熱によって G5 プロセッサをラップトップ PC に持ち込めずにいることが、Hyper-Threading やデュアルコア CPU、Pentium M など幅広いラインナップを揃える Intel CPU へのスワップを決定づけたのではないでしょうか。また、近い将来プロセッサそのものに実装される LaGrande と Vanderpool(セキュリティ技術と仮想化技術)は、今後のコンピューティングのトレンドとなるもの。これらの背景も、今回の決定を後押ししたに違いありません。また、Windows にも対応した iTunes+iPod と、Windows ユーザーをもターゲットにした Mac mini の登場は、将来的に PC で Mac OS が動いたり、Mac で Windows が動いたりするようになることにも含みを持たせた今回の決定への布石だった・・・というのは、さすがに穿ちすぎでしょうが。

デュアルコア技術や仮想化技術、消費電力といった面だけを考慮するならば Intel よりも AMD や Transmeta と手を結んだ方がよりパワフル、あるいは低消費電力な CPU を手に入れることもできたでしょうが(仮に Transmeta を選択していれば、CMS の開発次第では純粋な x86 CPU よりも簡単に PowerPC から移行できたかもしれない)、そうしなかったのはパフォーマンスプロセッサからコンパクトなモバイルプロセッサまで一社で幅広いラインナップを持ち、プロセッサに限らずチップセットやネットワークまで含めたプラットフォームとしての提供を得られることが魅力と映ったからでしょう(個人的には Intel よりも AMD の方が Apple に相応しい気がしていました)。おそらく今の Apple は、以前のように Macintosh というプラットフォーム全体を一社で掌握していることよりも、Mac OS X や iLife などのソフトウェア開発力や iPod のようなハードウェアをパッケージングすることの方が重要だ、と認識しているのだと考えられます。

今回の発表で明らかになったのは、とりあえず「CPU が Intel ベースになること」のみ。発表のニュアンスからいって Pentium/Celeron シリーズのプロセッサが搭載されるようになることはまず間違いないのでしょうが、果たしてそれは CPU だけなのでしょうか。上述のようにバスやコネクタインタフェースなど、ハードウェア的には既に多くの互換性を持つようになっているので、チップセットやネットワークインタフェースなども Intel 製になっていく可能性は限りなく高いと言えるでしょう。極端な話、「Centrino Mobile Technology」に対応した PowerBook が登場しても何の不思議もない、ということです。というより、PowerBook G5 が登場できなかったことが Intel への移行の一因とするならば、これまでの PowerBook/iBook に見られなかったような薄型や小型のスタイリッシュ/コンパクトな PowerBook/iBook や、Pentium M ベースのパワフルな Mac mini は、当然予定されているとみて間違いないのでしょう。

そして、仮に Windows PC と Macintosh がハードウェア的には全く同じアーキテクチャになり、Mac で Windows が、PC で Mac OS が動くようになったとすると、いよいよ脅威に感じなくてはならないのは既存の PC セットメーカーではないでしょうか。どんどんコモディティ化が進み、6 万円台のデスクトップや \99,800 のノートが話題になる現在では、Mac で Windows が動くからといってそこまで大きなブームに至るとは考えにくいです。が、今の Mac mini の価格を考えれば、デザイン料を考えれば十分にリーズナブルな価格でセンスの良い Windows 互換コンピュータが手に入る可能性はあります(そうなったとしても、もちろん Windows という OS のあまりにも高いライセンス料は別途必要となるわけですが)。Windows にとって本当の脅威は、Mac で Windows が動くようになることよりも、PC で Mac OS(および iLife や iWork などのリーズナブルな統合アプリケーション)が動くようになることかもしれませんが、PC ベンダーの立場からすると「今までの PC にはない『何か』を持った Windows 互換コンピュータ」が登場することになります。未だにテレビ録画機能すら標準搭載したパッケージのない Macintosh というコンピュータが Windows PC との互換性をもつことにより、PC が忘れていた価値観を市場にもたらす可能性はあるでしょう。そうなったときに、国内の PC メーカーで最も影響を受けそうなのは、かつて Apple が目標としていた、ほかでもないソニーなのではないでしょうか。VAIO の価値観は Mac のそれとは必ずしも一致しませんが、他のメーカーよりはオーバーラップする部分が大きいように思います。Apple に必要以上に対抗意識を持て、というつもりはありませんが、Apple が VAIO と同じアーキテクチャでより「魅力的な」製品を登場させる前に、VAIO も今一度「魅力的な」製品とは何か、問うてみる必要があるのではないでしょうか。


■記事リンク
PC Watch の記事
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0607/apple2.htm
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0607/apple3.htm
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0607/hot371.htm
ITmedia の記事
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0506/07/news007.html
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0506/07/news047.html
デジタル ARENA の記事
http://arena.nikkeibp.co.jp/news/20050607/112412/


[ KDL-L26HVX (4) ] 2005/06/03(Fri)
気がつけばもう 6 月も 3 日ですね。仕事辞めてもう 2 ヶ月も経ったのかー・・・。
5 月も終わったので、ソニスタから借りていた液晶 WEGA が先日引き上げられていきました。今日は、最後の使用感などを。

昨秋発売された WEGA「HVX」シリーズを語るときに外してはならないのが、PSX などと共通化された GUI「XMB(クロスメディアバー)」でしょう。PlayStation 2 のエンジン(EE+GS)によって実現されたシンプルかつ高速な GUI(デジタル対応の新「スゴ録」は EE+GS なしで XMB を搭載していますが)は、画質や音質、機能を差し置いて WEGA HVX シリーズの最大のセールスポイントだと思います。
この XMB の操作性を象徴しているのが、付属の新型リモコンです。

WEGA HVX

従来の「テレビのリモコン」の常識を打ち破った、携帯電話のような折りたたみのデザイン。閉じた状態ではチャンネル+−、音量+−、ジョイスティックおよび周辺ボタンというシンプルなモードになっています。
かなり昔のソニー製テレビ(WEGA ブランドになる以前)でも、リモコンに表裏があって(付属のカバーを装着して表裏どちらかを選択する)電源とチャンネル、音量のみが大きなボタンでついているシンプルモード(おそらく高齢者などの利用を想定していたのでしょう)と、チャンネル入力切換、タイマーなどが独立ボタンで実装されたノーマルモードに切り換えられるリモコンが付属していたことがありましたが、これはそれに近いアプローチだといえるでしょう。かつ、昔よりもテレビ自体が多機能化して複雑になった現代だからこそ、こういった「シンプルにもできる」操作系が必要とされているんだと思います。

WEGA HVX

開いたときにはたくさんのボタンがついたモードになります。一見テレビのリモコンというよりは AV アンプのリモコンに見えるほどですが、このリモコン自体が他の DVD プレイヤーや AV アンプのリモコンとしても動作するようになっています。
しかし実際にテレビの操作を行う場合には、リモコンのスティック下にある「ホーム」ボタンを押して XMB のメニューを呼び出し、チャンネルやソースの切り換え、各種設定などは XMB から行うことができるため、WEGA のほとんど全ての操作をこのスティックと周辺のボタンだけで行うことができるため、リモコンを開いたモードはほとんど使うことがありませんでした。こんにちのテレビはあまりにも速い進化や機能追加によってメニューベースの GUI に頼ることを余儀なくされていますが、その操作が一本のスティックに集約できる XMB という GUI は確かに優れている、と、このリモコンに触れて改めて感じましたね(XMB が提供するメニューの階層構造や縦横の関係については、まだまだ改善の余地があるとは思いますが)。
ただ、折りたたみというギミックやマグネシウム(と思われる)素材など、かなりコストがかかった(おそらく単体で発売したら 1〜2 万円はしてしまうでしょう)リモコンではありますが、手で握るには若干大きいので、むしろスティック+音量ボタンのみがついた小さくてシンプルなリモコンと、AV アンプなどの操作も行えるフルリモコンの 2 つを付属させた方が良かったような気もします。

WEGA HVX

PSX のリモコンとの違いとしては、スティックの先端が幅広で PSX のリモコンのような操作の軽快さに欠けることと、XMB 非表示時にこのスティックではチャンネルの切り換えができない(PSX では XMB を表示させていないときにスティックを上下させるとチャンネルの送り/戻しができた)のがちょっと残念でしょうか。このリモコンのデザインでは、普通に構えたときに親指がちょうどスティックの位置にくるようになっているため、チャンネルや音量を変更するには XMB を呼び出すか、リモコンを持ち替えてチャンネル/音量ボタンを押さなくてはなりません。XMB 非表示の際にはスティックの上下でチャンネル、左右でボリュームの操作ができればもっと快適になると思います。

WEGA HVX

実際の XMB の表示はこのようになっています。私の持っている初代 PSX から時間が経っているせいもありますが、画面に表示される情報が初代 PSX よりも多く(番組ごとに開始/終了時刻が表示される、など)なっていて、より使いやすくなっています。
PSX を買って以来、ザッピング中など(タイムシフトを伴わない)テレビ視聴における EPG 情報の有用さに惹かれ、単にオンエアを視聴するだけでも PSX の電源を入れるようになってしまった私ですが、やはりテレビそのものが EPG に対応すると快適さがググッと上がりますね。WEGA 自体が EPG 情報を表示してくれるため、PSX の電源を入れるのは番組の録画設定と再生時、それにゲームを楽しむときくらいになってしまいました。

XMB のメニュー構成ですが、横軸にメディアが並び、縦にコンテンツのタイトルやチャンネルが並ぶというつくりになっています。基本的に PSX と同じですが、テレビの軸がアナログ放送に加えて地上デジタル・BS デジタル・110°CS の 3 本分追加されているのが違いでしょうか(ウチはアンテナがデジタル放送非対応なので、デジタル放送の軸は使いませんでしたが(泣))。デジタル放送ではチャンネル数が多い割に全チャンネルが縦にズラーッと並んで表示されてあまり使いやすくなさそうなので、放送内容やユーザー定義のカテゴリで 1〜2 階層のサブツリーが作れるとより使いやすくなりそうな気がします。カテゴリ分けをするなら、ソース(地上波/衛星放送、デジタル/アナログ、もっと言えばライブ/録画も)を問わずシームレスにカテゴライズできるとより「パーソナルなメディア」としてのテレビを進化させることができそうな気がしますが、そういうのは(技術的にというよりもむしろ政治的に)なかなか簡単には実現できないのでしょうね。

WEGA HVX

WEGA の XMB を使ってみて感じたのは、使い勝手は PSX のそれとほとんど違いがないのですが、PSX に録画されたタイトルを視聴するには PSX の電源を入れ、WEGA を外部入力モードに切り換えて「PSX の XMB を操作しなくてはならない」ことです。同じ XMB なのにソースによってリモコンを持ち替えなくてはならない(設定次第で WEGA のリモコンを使って PSX を操作できたのかもしれませんが、試していません)というのはなんとももどかしいものです。例えば WEGA に PSX(なり XMB 対応の「スゴ録」なり)を接続すれば、WEGA の XMB の横軸にレコーダの軸が追加されて、いちいち外部入力に切り換えなくても WEGA の XMB からレコーダのコンテンツが操作できるようになればもっと快適でしょうし、他メーカーとの差別化や自社製品同士のシナジーも狙うことができると思うのですが、どうでしょうか(あるいは、既に開発に取りかかっているかな?)。
WEGA の XMB を中心として、WEGA に繋いだレコーダであったり、PSP であったり、ネットワーク経由で繋がった VAIO(でなくとも DLNA 対応のサーバマシンでもいいんですが)のコンテンツ操作(視聴に限らずチェックイン/アウトや DVD へのダビングなども)ができるようになるのが XMB が目指すべきゴールであり、リビングにおける「テレビの復権」を掲げたソニーが求めるべき道なのではないかと思います。

前回も少し書きましたが、この液晶 WEGA はワイド画面なので、4:3 で作られたコンテンツの表示方法を選択できる(上下を切って拡大するか、切らずに横長に伸ばして表示するか、間を取って上下を少し切りつつ横に伸ばして「できるだけ自然な」画にするか)ことは以前書いたとおりですが、映像が 4:3 か 16:9 かはテレビ側が認識して、モードを自動的に切り換えるようになっています。例えば一つの番組の中で 4:3 の映像と 16:9 の映像が混在している場合や、4:3 の放送中に 16:9 で作られた CM が割り込んできた場合にも WEGA が自動的にモードを切り換えてくれるのですが、映像のアスペクト比の認識を数秒(おそらく 3〜5 秒間隔で表示中の映像をスキャンしているのでしょう)間隔で行っているせいか、モードの変更が映像の切り換えから若干遅れて行われることがあります。これがけっこう気になるものなのですが、これで気が付いたのが、今のテレビ放送でいかに多くの 16:9 の映像が使われているか。番組・CM に限らずかなりのコンテンツが 16:9 で作られている、ということに改めて気づかされました(少し気をつけて見ていれば、地上波放送で意外にも上下に黒帯が入った映像が多いことに気づくはずです。逆にハイビジョン放送でも、一部番組で SD 映像をアップスキャンしただけの左右に黒帯がある番組があったりしますが)。また、現在発売されているテレビも大半がワイド画面になってしまっています。そろそろ、従来の地上放送もワイド画面を主流にすべき時期が来ているのかな・・・と感じましたね。


・・・とりあえずこんなところ、かな?やっぱり画質や音質ももちろん大事ですが、これからのテレビの「キモ」の一つは UI であり、操作性である、ということを HVX シリーズに触れて実感しました。その GUI にはまだまだ進化の余地は残されているけれど、XMB は確かに将来のテレビの GUI のスタンダードになり得るポテンシャルを秘めている、ということも、同じく感じましたね(と同時に、今までのファームウェアベースで作られた UI のテレビに慣れたユーザーにどれだけ「やさしい」使い勝手を提供できるか、ということも重要な課題である、とも感じました)。
液晶 WEGA がいなくなってからの我が家は、以前の 25 型の CRT WEGA が再びオーディオボードの上に戻ってきました。が、画面サイズはほとんど変わっていない(25 型と 26 型ワイドなので、縦方向にはむしろ今までのテレビの方が大きい)にも関わらず、何となく物足りない感じになるのは、単にインターレースの横縞が見える画面に戻ったからではないと思います(CRT に戻ったおかげで、物理的な圧迫感は増しましたが(笑))。

そういえば、今の 25 インチの WEGA を買ったのは、なぜだか衝動的にワールドカップの決勝を少しでも大画面で観たくなったからだったのを思い出しましたが(結局このテレビの買い換えが、その後のホームシアターへの大散財へと繋がっていくのですが・・・)、次のドイツ W 杯の予選もクライマックスが近づいてきましたね。今度のワールドカップは、もっと大きな画面で、デジタル HD 放送で観たくなりそうな気もします(^^;そのときの WEGA は、果たして今以上に購入の背中を押してくれる製品に仕上がっているのでしょうか。


[ DSC-P200 ] 2005/06/02(Thr)
Cyber-shot の新製品「DSC-P200」がソニスタ限定モデルとして登場しました。
ニュースリリース
http://www.sony.jp/products/di-world/cyber-shot/news/news050602b.html
製品情報
http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-P200/
http://www.jp.sonystyle.com/Product/Dsc_mvc/Dsc-p200/
デジカメ Watch の記事
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/compact/2005/06/02/1658.html
今年の 1 月に米国で発表されていた DSC-P シリーズの最新機種が、ようやく日本向けに登場しました。とはいえ、量販店向けには卸されず、Sony Style による直販限定。これだけ時間が経ってから、なおかつソニスタ限定ということで、ソニー的にはそこまで力が入っていないように見えます。
カメラのスペック的には、DSC-P150 の見た目を少しいじって液晶ディスプレイを 2.0 インチに大型化(解像度は 134,400 ドットで変わらず)した程度で、CCD やレンズ等の仕様は変更されておらず、本体サイズ・重量もほとんど同じ。ならば、一般向けには従来モデルの P150/P100 が継続販売される・・・と思いきや、P150・P100 は既に生産終了になってしまっています。これで、ソニーの国内市場向けコンパクトデジカメの主流は、もはや完全に T シリーズに移ってしまったとみていいのではないでしょうか。かつては独創的であらゆるメーカーが模倣した「スティックスタイル」も、もう陳腐化してしまったということなのでしょうね。DSC-P5 から代々乗り継いできた私としては、T シリーズよりも P シリーズのスタイルの方が使いやすく愛着もあったので、非常に残念です。
これで光学手ブレ補正機能でも搭載していれば、少しは興味が沸いたのですが、これではバランスのいい今の P100 から買い換えるまでもない感じですね。Cyber-shot では今度出る DSC-H1 でようやく手ブレ補正機能が搭載されたので、徐々に他のモデルにも採用が進むのでしょうが、T シリーズのような薄型モデルにはなかなか実装できないでしょうから、そのあたりで P シリーズの復権も考えられるかもしれません。あるいは、LUMIX FX8 を狙ったようなデザインでリニューアルしたりして・・・という気がしなくもないですが。(^^;



話は変わりますが、本日、気になるインナーイヤーヘッドホンの新製品が 2 機種同時に発表されました。
Shure E4
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050602/shure.htm
amadana PE-117
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050602/realf.htm
カナルタイプのインナーイヤーではソニーの EX シリーズ以上に気に入って使っている「E2c」の上位モデル「E4」シリーズと、B&O A8 に似たスタイルの耳掛け式インナーイヤーホン「PE-117」。
E4 の方は(写真を見る限り)ケーブルの取り回しが良くなっていそうなのと、ハウジングが金属製っぽいあたりが E2c よりも進化していそうで期待が持てます。実売で \35,000 くらいしそうですが・・・。
PE-117 の方は私がかなり前から気になっていて、同ブランドの製品を何度か買いそうになっている「amadana」ブランドなのが、とてもとても気になっています。竹使ってるし・・・。いや、この DVD プレイヤーとかこのリモコンとか、この電卓とかこのシュレッダーとか、本当に買おうか悩んでいるくらいなのですよ。どことなく QUALIA に通じる「ものづくり」へのこだわりを感じますし・・・。ただ、もともとが AV を作っている会社ではないので、実際の音がどうなのかは分かりませんが、できれば一度使ってみたいですね。

amadana ブランドについてはなんというか共感できる部分が少なくないので、以前から機会があれば一度この Column で取り上げてみたいと思っていたのですが、それはまた、別の機会に。


[ DMR-EX300 ] 2005/06/01(Wed)
松下から、デジタルレコーダ「DIGA」の新製品が登場。
製品情報
http://panasonic.jp/dvd/products/ex300_ex100/
PC Watch の記事
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050601/pana.htm
地上・BS・110°CS デジタルおよび地上アナログチューナを搭載した「デジタル DIGA」として、DMR-EX300(400GB HDD)と DMR-EX100)(200GB)の 2 製品が発表されています。大手メーカーのデジタル放送対応ハイブリッドレコーダとしては、東芝「RD-Z1」、ソニー「RDZ-D5」に続き、トップ 3 メーカーの中では最後の登場となりました。
本機ならではの特徴としては、デジタル放送とアナログ放送の 2 番組同時録画(デジタル 1 番組+アナログ 1 番組)、ジョグを利用して快適操作を実現した「くるくるリモコン」と音声による設置ガイドなど、最近のデジタルレコーダの流れに乗り、便利さとわかりやすさを全面に出してきています。
快適なユーザーインタフェースの提供という意味では、パイオニアの東大先端科学技術研究センターとの共同開発による新 GUI やソニーの XMB など、様々なアプローチからの研究が続いていますが、ジョグの採用については今までソニエリ製携帯電話を使ってきた方ならその快適さが分かるでしょう。GUI の作り込み次第では、XMB より快適なインタフェースになりかねません。
一方、音声設置ガイドについては、特設サイトを見る限り、OSD(画面)に表示される説明文を読み上げているだけなのですが・・・「このようにひとつずつ音声で案内してくれる!」「これは安心!わたしにもできそう!」

・・・(´д`)。

まあ、それはそれとして(ぉ、この製品は先に発表されているソニー、東芝の新製品と真っ向から競合する製品になります。
それぞれについて、おなじみ小寺氏のレビュー記事では
RD-Z1
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050406/zooma200.htm
RDZ-D5
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050601/zooma207.htm
↑のような評論がされています。比較してみると画質や編集機能については RD-Z1、XMB の操作性や「おまかせ・まる録」を含めたわかりやすさ・使いやすさでは RDZ-D5 という評価になっているようですが、そこに DMR-EX300 はどのように割って入ってくるのか。RD-Z1 はどちらかというとマニア向けの仕様になっているのに対し、DMR-EX300 は同じ DVD-RAM 系でも比較的スゴ録寄りの「わかりやすさ」をメインにした製品になっているので、競合するとしたら RDZ-D5 の方がより直接競合する形になるでしょう。そのとき、RDZ-D5 が HDD 容量の小ささやデジタル放送の二層記録 DVD への書き出し非対応(DVD+R の CPRM 非対応縛りにより、DVD+R DL に書き出せるのはアナログ放送のみ。デジタル放送は DVD-R/RW のみ書き出し可。松下、東芝製品は DVD-RAM なら両面記録で最大 9.4GB のディスクがデジタル放送の書き出しに使用できる)がどれだけ響いてくるか。また、上記記事中には RDZ-D5 には製品の端々に「CoCoon 的」なちぐはぐさが見え隠れする、とあるのが、いやに気になります。


一方で、来年以降のデジタルレコーダを見据えた次世代 DVD の動向に関しては、先週規格統一の交渉が物別れに終わったという報道があったばかり。
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0505/27/news092.html
これで統一規格の誕生が完全に潰れてしまった、というわけではないようですが、これを受けてソニーが BD 対応製品の開発を再開したという話も。双方の言い分もあるのでしょうが、そこに「ユーザーの利益」はあるのでしょうか。このまま統一が叶わなかったとしたら、最終的に勝つのは例によって先にコンテンツを揃えたメディア、もっと言えば先にアダルトコンテンツを揃えたメディア、ということになってしまうような気がするのですが、それでは同じ歴史の繰り返しにすぎないわけで、あまりにも面白くありません。
6 月は次世代 DVD 統一規格の仕様書を手元に、今シーズンのデジタルレコーダの新製品カタログを眺めつつ、来年のデジタルレコーダを予想してみよう、と考えていたのですが、それは結局叶わないままに終わってしまいそうです。

My Diary Version 1.21
[ 管理者:Brown Sugar 著作:じゃわ ]