VAIO Column
[Columnから戻る]
[他の月を見る]
(2003/04)


[ DSC-V1 ] 2003/04/30(Wed)
2/下旬に米国で先行発表されていた Cyber-shot の新モデル「DSC-V1」がようやく国内発表されました。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970218/dscv1.htm
おっと、間違い(ぉ
ニュースリリース
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200304/03-0430/
製品情報
http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-V1/
1/1.8 インチ有効 510 万画素 CCD(総画素数 530 万)、光学 4 倍ズーム+デジタルスマートズーム、カールツァイス「バリオゾナー」レンズ、ナイトフレーミング+ナイトショット、マニュアル撮影対応、メモリースティック PRO 対応という仕様。それでいて、本体はそこそこにコンパクトという、いってみれば DSC-P10 と DSC-F717 の間を埋めるようなスペックになっています。
価格は珍しくオープンプライスではなく、希望小売価格 \100,000。実売価格は \89,800、安くて \79,800 というあたりでしょうか?最近、DSC-F717 が値崩れして \100,000 を切る価格で購入できるようになってきているようですが、この V1 の存在が影響していたんでしょうかね。

スタンダードなカメラスタイルや光学 4 倍ズーム、高画素という仕様を見るとキヤノンの「PowerShot G3」をかなり強く意識した製品であるということができるでしょう。DSC-S85 もそうでしたが、マニュアル設定機能を多用し、写真撮影そのものあるいはカメラそのものを趣味とする中級ユーザー以上を狙った製品、といえます。
しかし、そこそこ奢ったスペックの中でかなり残念なのがレンズの F 値。F2.8〜4.0 という、お世辞にも明るいとは言えないレンズが搭載されています(※F 値というのはレンズの明るさを示す数値で、値が小さいほど明るいレンズということになる。F 値はテレ側(ズーム側)に向かうに従って増加し、レンズの得られる光量は F 値の二乗に比例するため、V1 のレンズではテレ端ではワイド端の約半分まで明るさが落ちてしまう(2.8^2÷4.0^2=0.49))。DSC-P9 の F2.8〜5.6 や DSC-P10/P8 の F2.8〜5.2 よりは明るいものの、F707/F717 の F2.0〜2.4 というめいっぱいまで寄っても十分な光量が得られる明るいレンズと比較すると、中級以上をターゲットとした V1 の目標としてはかなり貧弱な光学周りと言わざるを得ません。父祖にあたる S85 のレンズが F7x7 とほぼ同等の F2.0〜2.5 という明るさであったことや、ライバル PowerShot G3 のレンズが F2.0〜3.0、すなわちテレ端でも V1 のワイド端(F2.8)に迫る光量を確保できるスペックであることを考えると、明らかにレンズとしては力不足です。テレ端でワイド端の 1/3 以下の受光量に落ち込んでしまう P10 のレンズは問題外なのですが(更に言えば P9 では 1/4 だった)、他メーカーのコンパクトクラスは総じて F2.8〜4.8 前後のレンズを備えているので、V1 はそれらよりは少しマシな程度ということになります。
私は P5/P9 のテレ側だと暗すぎて室内ではほぼ使い物にならないという仕様にうんざりした経験から、レンズの明るさをかなり気にするようになっているため、V1 のこの仕様にはがっかりです。P8 を試用してみた限りでは、最近の Cyber-shot は暗所では自動的にシャッタースピードを落としめにして光量を稼ぐようなつくりになっているようですが、それだと手ブレに弱くなったり動きの速い被写体には追従できなかったりするのでイヤなんですよね。ソニーのコンパクト機は伝統的にレンズが暗いですが、どうしてなんでしょう?コンパクト機を使うようなユーザーはレンズの明るさになど興味はない、と割り切っているのでしょうか。まあ、V1 のテレ端 F4.0 というスペックならば P9 ほどひどいことにはならないでしょうが、物足りないことには変わらないわけで。

また、本体のバッテリ持続時間は標準的な使用で約 75 分。DSC-P10/P8 と同じ「インフォリチウム C」バッテリ「NP-FC11」を採用していることを考えると、まあこんなもんかな、というところですが、「インフォリチウム M」バッテリ「NP-FM50」を採用し「スタミナ」を謳った F717 の 200 分を超える撮影時間からみると、かなり見劣りします。経験とカンで露出やシャッタースピードを決め、どんどん撮っていける熟練者ならまだしも、V1 の想定するユーザーはいろいろな設定を試行錯誤しながら、あるいは楽しみながらじっくり撮影に臨むという使い方をされることが多くなりそうですから、撮影そのもの以外にバッテリ残量を常に気にしておかなくてはならないこの撮影時間の短さはマイナスポイントですね。そこまでしてコンパクトさにこだわらなければならないタイプのカメラでしょうか・・・?

個人的には、いまいちアカ抜けなかった Cyber-shot S シリーズでも、F505 譲りのレンズの素性の良さと F707 に受け継がれたスタミナ、この二点は S シリーズの美点と認めていただけに、そのポイントが押さえられていない V1 はどうなのかな、と思います。マニュアル機能が充実していて、ナイトショット・ナイトフレーミングというちょっと物珍しい機能がついただけのごくありふれたカメラになってしまっているような・・・。S シリーズの流れを汲んでいるところといえば、そのカメラらしい(逆に言えば Cyber-shot らしくない)デザインとマニュアル撮影機能くらい。「V1 は DSC-S シリーズの後継ではない」と言ってしまってもいいかもしれません。最初に米国での発表をちらっと見た雰囲気では、「レンズさえ良ければ F707 からちょっと浮気してみても良いかな?」と思いましたが、この仕様では萎え萎えです・・・。5 点選択測距方式のマルチポイント AF や 6 枚羽根の絞り、ヒストグラム表示など、F717 譲りの機能は一通り備えているので、撮影シーンによっては/あるいは使う人次第ではかなり面白いカメラになりそうではあるんですけどね。

トータルで考えると、V1 は中級以上のユーザーをターゲットにしたマニュアル撮影カメラ、というよりは、初級を卒業して少しマニュアル撮影もやってみたい、というユーザーが F717 等の上位モデルにステップアップするための製品、という位置付けができそうです。というより、S85 や F707 あたりのユーザーが少し小さくてそこそこ使えるマニュアルデジカメとして買うと(レンズやスタミナといった点で)けっこう後悔してしまいそうな中途半端さが漂っている気がします。F505V を F707 に繋いだ S75/S85 の意義は大きかったですが、この V1 の意義って何なんだろう・・・。実写画像を見るともしかしたらその評価は一転してしまうかもしれませんが、現時点で言えるのはここまでです。
そろそろ F707 からステップアップするか(といっても撮影技術的にはまだまだ F707 で学ぶことは多いんですけどね)、あるいはよりブラッシュアップされた F717 の後継機種に買い換えるか・・・と思い始めている私ですが、今年中に買い換えに値するモデルは出るのでしょうか?今年は F7x7 もそろそろ光学系を洗い直してフルモデルチェンジしてもおかしくない時期ですし、来年にはソニーも本格的にデジタル一眼レフに参入すると言われていますから、今はもう少し様子見なのだとは思います。が、ついふらふらっと EOS 10D あたりに手が滑ってしまいそうな自分もいて、怖いです(^^;

■記事リンク
PC Watch の記事
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0430/sony.htm
ASCII24 の記事
http://ascii24.com/news/i/hard/article/2003/04/30/643334-000.html
ZDNet の記事
http://www.zdnet.co.jp/news/0304/30/njbt_01.html


[ 晴天を誉めるなら夕暮れを待て ] 2003/04/29(Tue)
株式会社飛鳥が、メモリースティック PRO 対応フラッシュメモリコントローラ「英(HANABUSA)」を発表しました。
ニュースリリース(PDF)
http://www.aska-corp.co.jp/pdf/hanabusa.pdf
製品情報
http://www.aska-corp.co.jp/z_hanabusa.html
PC Watch の記事
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0428/asuka.htm
チップ自体としては SD/MMC、メモリースティック/PRO、スマートメディア、コンパクトフラッシュに対応する汎用フラッシュメモリコントローラなのですが、本製品は業界で初めて「メモリースティック PRO」の高速転送に対応しています。現在までに発売されているメモリースティック PRO 対応製品(あるいはファームウェアアップデートで PRO に対応した製品)は、メモステ PRO の動作そのものは保証していたものの、PRO の高速転送には対応せず、従来のメモリースティックと同程度のアクセススピードしか保証していませんでした。この「HANABUSA」の登場によって、ようやくメモリースティック PRO への完全対応が実現するということになりそうです。
これまで、メモステ PRO の高速転送についてはどの方面に聞いても明確な返答を得られなかったのですが、少なくとも今回ソニーは自社でメモステ PRO 対応コントローラの開発を行っておらず、ほぼ完全にパートナーからの供給に頼っているようで、その開発の遅れがここまでの発表の遅れに繋がっているということが言えそうです(今までも自社開発は行っていなかったのかもしれませんが、とりあえず自社製品に載せられるペースではコントローラを用意できていました)。
これによってようやく VAIO をはじめとした PC 製品でのメモリースティック PRO 高速転送対応が実現されそうですが、チップのサンプル価格は \2,500 と、単なるフラッシュメモリコントローラとしては高めの価格設定になっています。端末価格を考慮すると安くても 3〜4 倍にはなってしまうでしょうから、そうなると夏モデルへの搭載はどうなるの?というあたりが気になりますね。しかしながら、大容量と高速転送を謳うメモリースティック PRO を発表しておきながら、高速転送に対応する製品を全く発表できないというのは半分詐欺みたいなものだと(少なくとも私は)思っていますから、夏モデルでは当然 VAIO 全新製品に搭載してくれるんでしょうねソニーさん、と申し上げたいです。
しかし、メモステ PRO だけでなく複数のフラッシュメモリデバイスに対応できるチップがあるのに(もし自社開発のチップを搭載しないとしたら)他のフラッシュメモリデバイスに対応しないとしたらもったいないですね。個人的には SD はいいから CF スロットの採用を期待したいと思います。

この「HANABUSA」の量産出荷は 5 月。VAIO の新製品発表までおそらくあと 3 週間前後、メモステ PRO への対応の可否が明らかになるのは蓋を開けてみないと判りませんが、そろそろ本格的な対応を見せないとデバイス自体がヤバいのは明白です。そのあたりに注目しつつ、夏モデルを待ってみても良いのではないでしょうか。


[ P9-CASE ] 2003/04/28(Mon)
先日、この Column にて吉田カバンの話題を取り上げましたが、吉田カバンファンの冬雪さんより例によってまたメールをいただいてしまいました。

> 先日掲示板で話題にした HEADPORTER の Cyber-shot P シリーズ用ケースが発売になっているようです。土曜日に原宿のショップを覗いてこようと思うのですが、どうします??

おお、そうなのか。

返信:
> えーっと、もし売っているようなら、
> 値段と在庫状況メールか電話で教えてもらえます?

翌日、昼頃に携帯にメール。

> 色は黒とオリーブと紺、在庫は黒・オリーブのみで、値段は \5,800 だそうです。どします?

おーし、買う(ぉ

・・・というやりとりの結果、買って送っていただいちゃいました。C1-CASE のときといい、本当にいつもありがとう>冬雪
でもよく考えると昔と違って原宿は近いわけだし、わざわざお手を煩わせなくても自分で買いに行けば良かったような(笑

そんなわけで届いた HEADPORTER。

HEADPORTER PAPER BAG

いきなりオリジナルの紙袋(ちっちゃくてなかなかカワイイ)に入っていました。さすがに芸が細かいです。
こういうのは嬉しいです。HEADPORTER は紙袋すらレアですからね(笑)。

P9-CASE BLACK×ORANGE

購入したのはブラック。TANKER シリーズということで、ブラックの外装にレスキューオレンジの内張になっており、私の持っている 3Way とはかなり相性が良さそうです。誰ですか、ジャイアンツとか言うのは。

MEMORY STICK POCKET REAR VIEW

ケースの両脇にはメモリースティック用ポケットがついていて、各 1 枚くらいずつメモステを収納することができます。予備バッテリを何とか入れられないか試してみたのですが、無理矢理突っ込むことはできるものの形が崩れてしまって×でした。
背面はソニスタ×PORTER の MZ-E10 用ケースみたく、ベルトやバッグ・バックパックのショルダーストラップ等に固定できそうな多目的のベルクロ/ストラップがついています。取り回しはかなり良さそう。
また、ブラックの隙間から部分的に見えるオレンジ色がオシャレです。・・・だから、ジャイアンツとか言わないで(泣)。

DSC-P9 in the CASE

Cyber-shot P シリーズを意識して作られたというわけで、さすがに P9 にはジャストサイズ。P8/P10 でもいけるんじゃないでしょうか。
冬雪様は 3Way とお揃いのネイビーがなかったので買わなかったそうですが、コズミックブルーの P2 なんかとはすごく合いそうですよね。P10 のメテオブルーとか。P9 はチタンシルバーだから、何にでも合わせやすいですけど・・・。

P-Series Cases

私の持っている P9 用ケース 3 種。P5 のときに本体と一緒にソニスタで購入した Sony Style×PORTER の P5 用ケース(後に本体のみ売却)、HEADPORTER、純正蝉ソフトケース「LCM-PX」(ショルダーベルトを BLT-11 に変更済み)。
ポケットの多さならば P5 用ケースがいちばん機能的ですし、落ち着いたデザインなので合わせるバッグを選ばないのですが、サイズ的にはいちばん大きいです。LCM-PX は常に首から提げているような場合にはいいんですが、最近出番は少ないなあ(笑)。HEADPORTER はこの中では最もコンパクトに収まるし、上蓋を開けるだけなので本体の出し入れもしやすくてけっこう重宝しそう。何より HEADPORTER ですしね(^^)
デザインの相性を考えると、この HEADPORTER ケースと TANKER の 3Way、ソニスタケースと C1-CASE という組み合わせで持ち運ぶことが多くなりそうです(皮肉なことに HEADPORTER どうしだとちょっと色が合わない)。ソニスタのケースも気に入っていたのですが、やっぱり HEADPORTER もかなり気に入りました。どっちも大事に使ってやりたいと思います。


・・・と、Cyber-shot 用ケースの話題が出たところでタイミングが良いんですが、もう皆さんすっかり記憶の彼方に行ってしまっているであろう(笑)ソニスタの「ケースで着替える、U。」企画の最終章がスタートしています。
http://www.jp.sonystyle.com/Product/Dsc_mvc/Dsc-u10/Case/
最終章ってまだ終わってなかったんですね(^^;いつの間にかなし崩し的に終了してしまったものとばかり思ってました。
第 1 弾の BEAMS、第 2 弾の Gallery1950×吉田カバンに続き、今度は「NEIGHBORHOOD」モデル。ソニスタって、原宿方面のブランド好きですよね・・・私はどちらかというと少し苦手なんです。私には若すぎて(笑)。
でもちょっと面白そうなのが、今回は「U」と「P」が入るケース、というところなんですね。二刀使い(いや、三刀だ)の私にはうってつけ。とはいっても、SO505i を買ったら U20 の出番は大幅に減りそうな気がするんですが・・・。でも、このケースはちょっと楽しみにしてみたいと思います。


[ Paint it purple ] 2003/04/25(Fri)
U101、ちょっとマテ。
http://www.vaio.sony.co.jp/Info/2003/products_0425.html
勘弁してください。

昨日の Column で「周辺機器にも『VAIO』ブランドを拡大」という発表を「『VAIO GEAR』的な製品の拡充」というふうに書いていたのですが、一夜明けて↓この記事
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/04/24/11.html
を読んで考え直してみると、どうやら私の理解は間違っていたようです。ソニーが製造・販売するコンピュータ周辺機器、つまり
http://www.sony.jp/products/index/com.html
↑のカテゴリに類する製品全体に「VAIO」ブランドが適用される、ということですね。ディスプレイ、マウス、ドライブ、プリンタ、そういったものに「VAIO」ロゴが付与されていくことになるのでしょう。今までは、デスクトップ VAIO の本体だけ購入してディスプレイはセットモデルには存在しないソニー製の 20 インチ液晶を購入する、とか、ノート PC 用にソニー製光学マウスを購入する、といった場合に、それらの機器には「VAIO」ロゴが入らなかったのが、これからは全て「VAIO」ロゴで揃えられるということです。根っからの VAIO ファンにはたまらないかもしれませんね。
しかし、昨日書いた「『VAIO』というのはあくまで『ビデオ、オーディオの統合操作環境』なので、例え PC の形態を取っていない周辺機器でも『VAIO』の哲学を体現するものであれば『VAIO』であっていい」という私の考えからすると、この戦略はちょっといただけないですね。どちらかというとビジネスユースに特化したデータプロジェクタポータブルファイルサーバのような製品は、あまり「VAIO」であるとは言えないような気がするので。VAIO は究極の「パーソナル」なコンピュータだと思っている私は、たぶん会社で使うデータプロジェクタに「VAIO」ロゴが入っていたら引いてしまうかもしれません。また、個人的には仕事マシン(ThinkPad)にドライブやマウスだけソニー製(非 VAIO ブランド)を使うことがあるので、そこに「VAIO」ロゴを入れられてしまうとちょっと仕事では使いづらいかも・・・。


[ Shift Up to Top Gear ] 2003/04/24(Thr)
2003 年度もそろそろ一ヶ月が経とうとしていますが、今日はソニーが 2002 年度の連結決算を発表しました。
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200304/03-019/
四半期業績としては過去最高となった 2002 年度 3Q から大きく失速し、4Q は大幅な赤字。通年の業績としてもなかなか厳しい結果になっているようです。特に 4Q は VAIO の深刻なまでの低迷がエレクトロニクス事業の足をずいぶん引っ張ったようで、ユーザーとしてはやはり気にかかるところ。
私はソニーの株主ではないので、決算発表に一喜一憂することはなく、いい製品を作り続けてさえくれればいいと思っているのですが、この決算を受けての今後の戦略ということになるとやはり気になります。この決算発表会の中では、あの「QUALIA」についても言及され、今年 6 月には登場予定というところまでは明らかにされましたが、「QUALIA」に関してはまた別の機会に語らせていただくということで(笑)、今日はもう一つの気になる話題。「VAIO」ブランドの今後のお話です。

PC Watch の記事
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0424/sony.htm
この発表会の中で、今後は「VAIO」のブランディングを PC 本体から周辺機器にまで広げる、という話題がありました。
周辺機器に「VAIO」って何のこと?と思うかもしれません。確かに、純正のメモリを出してきて「これ、VAIO」と言っても「イヤ、それただのメモリだから」と突っ込まれて終わりですよね(笑)。そうではないのではないかと。
周辺機器のブランド化、というと、少し前に「VAIO GEAR」というものがありました。「Music」「Creation」「Communication」「Navigation」の 4 つのカテゴリで、VAIO の可能性を広げてくれる専用関連製品、というのが定義だったような気がします。おそらく、周辺機器の「VAIO」ブランド化、というのはこれに近いイメージなんじゃないかと思っています。
例えば、現在の「ルームリンク」。これは確かにまだまだ完成度は高くないと思いますが、それでももう少しバージョンアップして「VAIO」というブランドネームをつけられたら、少なくともただのメモリよりは「ああ、これも VAIO なのか」と思うでしょ?そういうことです。「Video Audio Integrated Operation」あるいは「Communication, Creation & Connection」といったキーワードのもとに、VAIO 本体の潜在能力を引き出してくれる「VAIO らしい」周辺機器について「VAIO」の名を冠してくるのではないかと思います。あるいは、Music Clip のようにそれ自体で何かの機器として動作可能なものかもしれませんし、例えば東芝の「TransCube」のようなホームネットワークの中核をなす製品化もしれません。中にはウォークマンや WEGA、CoCoon といった既存のソニー内のブランドと競合してしまう機能を持った製品が「VAIO」という名前で登場するかもしれません。

ずいぶん以前ですが、この Column で「『VAIO』というのは、PC を指すものではない。『VAIO』というコンセプトを実現する製品、ソリューション、あるいはスタイルそのものなのだ」といった内容のことを書いたことがあったと思います。今回の周辺機器の「VAIO」ブランド化は、まさにその考えに基づいたものではないでしょうか?例えば「ルームリンク」が発展し、VAIO 本体側の機能を取り込んでしまって、PC の形は取っていないけれど、DVD や MD、メモリースティック、あるいはネットワーク配信のオーディオ・ビデオといったあらゆるソースにアクセスでき、中にビデオやオーディオデータをいくらでも溜め込んでおけて、ネットワーク経由で家の中のどこからでも AV ファイルにアクセスできて、なおかつビデオや静止画、音楽の編集が自由に行える製品、といったら「VAIO」の名前に相応しいと思いません?もちろん、ソニーに言わせればそういう製品は「CoCoon」のカテゴリに属するものになってしまうのでしょうけど。
でも、たぶん、そういうことなのだと思います。

今回、アクセサリに「VAIO」ブランドをつける、というのは、いわゆる「モノづくりの復権」に絡めた VAIO イメージ戦略の一環なのだろうと思います。PC の低価格化が進み、低価格路線か付加価値路線かの両極端に進まねばならず、いずれにしても高級機ばかりが売れていた時代は終わってしまった。そこで、周辺機器まで含めたブランド全体の価値を高め、高くても納得して買ってもらえる土壌を作るのか、あるいは周辺機器の収益で本体の利幅減をカバーしたいのかは分かりませんが、とにかく今回のブランディング戦略は「VAIO」とは何ぞ、という観念論から始まっているものではなく、どちらかというとお金の匂いのするところがスタート地点になっているということは事実でしょう。しかし、ブランドの弱体化を覆すために開発された VAIO Z1 と VAIO U101 があれだけ魅力的な製品として登場してきたことからも分かるとおり、新たに「VAIO」ブランドを冠された関連製品にもまた、期待がもてるというものです。
ともかく、この夏モデルでは「アクセサリも何かおもしろいこと」がありそうです。楽しみですね。


[ はるかな高み ] 2003/04/23(Wed)
今日、帰宅してみるとデスクの上に置いてあるルータ「HN-RT1」のフロントパネルが黄色く光っているではありませんか。
うん?チャンネルサーバーでもないのに私好みの番組を録画しておいてくれたの?などと思いつつ(笑)、液晶パネルを覗き込んでみると

> <オシラセ> ファームウェアノコウシン

の文字が。

<オシラセ> ファームウェアノコウシン

おおすごい、この子ったら自動的にアップデート版ファームウェアを検知してくれるのね、と今更ながらに認識し(笑)、何がどうアップデートされるのか分からないけどとりあえずアップデートだ、と思い、おもむろにフロントパネルの [ENT] ボタンをプッシュ。
すると、

> コウシンシマスカ? YES/NO

コウシンシマスカ? YES/NO

と甲斐甲斐しくも訊いてきたので、そりゃあもう yyyyyyyyyyyyyyyyyyyy くらいの勢いで [ENT] を押下しまくった私。(ぉ

すると、

> コウシンチュウデス。 シバラク、オマチクダサイ。

コウシンチュウデス。 シバラク、オマチクダサイ。

と表示され、天板の LED インジケータはオレンジに点滅し、

ステータス LED

数分間の操作不能状態に陥ったのでありました。

ぼーーーーーっと待っていると、

Sony Router Now Booting

ルータが自動的に再起動して、アップデート完了。PC を起動し、ブラウザからルータの設定画面を呼び出すと、ファームウェアはばっちりバージョン「1.2.8」にアップデートされていました。

アップデート カンリョウ

チャンネルサーバーといい、この HN-RT1 といい、こういう賢さの高い機械って何だか好きだなあ、と思いつつ、製品のサポートページを確認してみると、案の定今日最新版のファームウェアが公開されたところでした。さっそく通知してくれたんですねー、えらいですねー。
http://www.so-net.ne.jp/products/router/support/firmware/firm_v128.html
詳細を見てみると、今回のファームウェアでは
  • プリントサーバ機能
  • ワイヤレス機能の ON/OFF
  • フレッツスクエア対応
  • 液晶ディスプレイからの設定リセット機能
の機能が追加され、さらに不具合修正として
  • 上り方向のスループット改善
以上の改良がなされたようです。「上り方向のスループット改善」ってまさに悩んでた症状じゃん!と思い、喜び勇んで RBB TODAY のスピードテストを行ってみたところ、
  • 下り:55〜70Mbps(旧ファーム:約 55Mbps)
  • 上り:20〜25Mbps(旧ファーム:約 11Mbps)
上りだけじゃなくて下りもスピードアップしてるよ!!!瞬間最大風速で 72.26Mbps とか出てます。今までとは別次元の速さ(※注:こんなこと言ってるけど違いを体感できてません)。速度の不安定な夜間のゴールデンタイムに測ってコレなので、ネットワークが空いている時間帯に測ったらもっと出る可能性もあるんじゃないでしょうか?かなーり感動。あと、最近モノクロページプリンタの購入を考えていたり、ほぼ IEEE802.11a への移行が完了していたりするのでプリントサーバ機能の追加や内蔵無線 LAN の ON/OFF 機能の追加は個人的には嬉しい限り。NEC から買い換えたもののイマイチかなーと思っていた HN-RT1 ですが、今回のファームウェアアップデートで一気に大好きになりました。(^^;

・・・という感じでパワーアップを果たした HN-RT1 ですが、先日の Broadband Watch のレビュー記事によると
http://bb.watch.impress.co.jp/column/review/2003/04/09/
どうやら HN-RT1 には内部に HDD マウンタがあったり、より強力なパーツに交換してスペックアップできそうな余地があったり、近いうちに上位機種が出てきてもおかしくない雰囲気なんだとか。HDD を積んでもさすがに FF11 はインストールできないでしょうが、本格的に Web サーバにしたりファイルサーバにしたりということはできそうです。LinkGarage みたいな機能とか。他にも、無線 LAN モジュールの換装で .11a あるいは .11g にも対応させられそうな気がします。
HN-RT1 は今のところ So-net 会員のみを対象にした販売形態がなされており、ユーザーのトラッキングは比較的容易なはずです。この背景を利用して、ソフトウェアだけでなくハードウェアのアップグレードサービスも行ったりしてくれると嬉しいんですが、どうでしょうか?>So-net さん


[ the 3rd ] 2003/04/22(Tue)
NTT DoCoMo がハンドヘルド PC の最新機種「sigmarion III」をいよいよ正式発表しました。
ニュースリリース
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/03/whatnew0422.html
sigmarion III
http://www.nttdocomo.co.jp/info/products/sigmarion3/
一瞬 Evo N200 かと思った・・・(笑)COMPAQ(現 HP)製なのかと。どうやら今回も NEC 製らしいですが。
ゼロハリデザイン、やめてしまったんですね。ま、初代から続くあのデザインはさすがに見飽きてしまいましたし、それ以前に「○○デザイン」にはもうすっかり食傷しているので、このデザイン変更は前向きに受け止めたいです。例によってどこかで観たデザインなのは NEC ならではでしょうか(笑)。せめてカラーリングが違えばつつかれないのに・・・。
Windows CE .NET に Intel XScale PXA255 400MHz を搭載し、従来の倍となる 64MB の RAM、800x480 の高精細表示に対応した 5 インチの半透過型ワイド TFT 液晶、14.1mm ピッチのキーボードというスペックに仕上がっています。前作 sigmarion II とは全く別物といっていいほどのスペックアップで、変わりようからいえば VAIO U3→U101 以上の変貌かも。HPA よりも反応速度の高い TFT 液晶に 400MHz の XScale プロセッサのおかげで、従来機種のように動作速度に関してイライラすることがなくなりそうです。さらに、CF TypeII スロット+SD カードのデュアルスロット搭載で、CF スロットには通信カードを挿しっぱなしでもストレージ容量は SD でカバーできるというのは嬉しい仕様ですね。しかも SD スロットは SDIO 対応なので、SD カード型の P-in とかが今後出たら面白そう(そしていずれ出る 4GB microdrive を CF スロットに・・・)と思うのですが、いかがでしょうか。ソニーユーザーとしてはメモステ系スロットでないのが残念ですが、N505i(miniSD 対応)との相性や DoCoMo の方向性(端末は miniSD タイプの方が多数派)を考えると SD になってしまうのは仕方ないか。
そして今回もおそらく競合キャリアプロテクトはかかっていて、現行の AirH" はまず間違いなく使用不可なのでしょうが、DDI ユーザーとしては微妙にバージョンアップした AH-N402C のリリースを期待してしまいます(笑)。SD カードスロットに AH-S101S のプロテクトをかけるのをうっかり忘れていてくれたりすると間違いなく AH-S101S+sigmarion III という組み合わせで買ってしまうのですが(^^;

本体サイズは sigmarion II の 189×107×27mm・500g に対し、sigmarion III は 189×117×21mm・455g。若干奥行きは増しているものの、従来よりも薄く・軽くなっているため機動性はむしろ上がっています。デザインも相まって、6mm という数値上の差以上に sigIII の方が薄く見える気がします(sigII にはゼロハリ風の凹凸があるのでよけいに厚く見えるのですが)。直線を中心としたシャープなデザインで、開くとフラットに薄く見えるというデザインの方向性は VAIO U101 に通じるところがありますね。
液晶のサイズは従来の 6.4 インチワイドと比べて小さくなってしまいましたが、解像度で比較すると 2.5 倍になっています。液晶パネルの両サイドに無駄なスペースがありますが、ここにはおそらく液晶側が薄くなった分のタッチパネルの制御基板とかが収められているのでしょう。画面自体は縦方向には広くなっていますしね。解像度が高くて見難いように思えますが、ちょっと計算してみたところドットピッチでは VAIO U101 とほぼ同じか誤差程度に細かいくらいで、少なくとも U1/U3 のドットピッチよりは 10% 程度見やすいようです。
バッテリ駆動時間は非通信時で 4.5〜8h、通信時では 3〜5h と旧機種と大差ありませんが、今回はオプションで大容量バッテリが用意され、これを使うと非通信時で 16h、通信しても 10h 程度は持つ計算となり、Centrino ノートにも引けを取らなくなってきます。sigII は通信しているとホントにすぐバッテリがなくなってしまいましたが、これくらい持てばかなりまともに使えそうですね。キーボードも縦方向のピッチが微妙に長くなっているようで、多少タイプしやすくなっているでしょうし。「ノート PC への挑戦」「これでも、まだノート PC にこだわりますか?」など、かなりノート PC 対抗を強く意識したキャッチコピーを打ってきていますが、このあたりの仕様を見ると、むべなるかな。と思います。

ソフトウェアとしては、IE5.5 を筆頭に、CLIE でも人気の高いドキュメントビューワ「Picsel Viewer」の強化版「Picsel Browser」を搭載し、MS Office 系ファイルや PDF ファイルの閲覧が可能になっているのがセールスポイントで(その代わり Pocket Office は添付されず)、他にも Windows Messenger、強化された Windows Media Player、電子ブックリーダ「ブンコビューア」などが搭載されます。「ブンコビューア」では VAIO U101 の ROTATE 表示のように本体を横(縦?)に持って本を読むようなスタイルで電子ブックを読むことができるそうですが、これはサイズ・重量的にいっても VAIO U よりは現実味のある使用法ではないでしょうか。これで、使用に際しては両手が前提となってしまうタッチパネル+スタイラスというインタフェースではなくて、「モバイルグリップ・スタイル」なりジョグっぽいデバイスなり、片手あるいは立った状態でもそこそこ使えてしまうインタフェースを備えていたら、けっこう VAIO U あたりとは悩んでしまうところではないでしょうか。

以上のような感じで登場した sigmarion III。VAIO U をはじめとするノート PC の小型化、PDA の高機能化、そして携帯電話の発展・・・という時代の流れの中、死んでしまったかと思われていたハンドヘルド PC というジャンルでしたが、こんな奥の手を出してこようとは。なんというか、Centrino の時代だからこそ、意地を見せるつもりで開発された製品という気がします。5/末以降の発売で、おそらく \50,000〜60,000 という価格設定になるでしょうが、その後の値動きによってはかなり面白そうな製品といえます(スペックを考えると \60,000 でもむしろ安いと感じますが)。
個人的には AirH" から @FreeD への乗り換えも含めて検討してみたいとは思っていますが、sigmarion II で WinCE の長所も短所もある程度分かっているので、それが sigmarion III+CE .NET でどの程度解決されているか、がカギになると思います。是非とも一度どこかで実機にじっくり触れてみる機会が欲しいですね。
でも、本当は AH-N402C とかが出て、それがサクッと sigIII で使えて、なおかつ実売 4 万円台前半まで下がってきたらひょいっと買ってしまいそうな気がしてます(笑)。あぁ、早く AirH" が使えるようにならないかな。

■記事リンク
PC Watch の記事
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0422/docomo.htm
ケータイ Watch の記事
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/13704.html
ASCII24 の記事
http://ascii24.com/news/i/hard/article/2003/04/22/643204-000.html
http://ascii24.com/news/i/hard/article/2003/04/22/643219-000.html
MYCOM PC WEB の記事
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/04/22/17.html
ZDNet の記事
http://www.zdnet.co.jp/mobile/0304/22/m01.html


[ My Sony Card ] 2003/04/21(Mon)
Sony Style にて、「My Sony Card」でお買い物してみました。eLIO 決済初体験です。
My Sony Card 自体はソニスタの 3 周年記念のキャンペーンのときに、\3,000 分のお買い物クーポンがもらえる(累計 100Star 以上獲得の Style Member のみ)ということで申し込み、先月から使えるようになっていたのですが、eLIO による電子決済は今回が初めて。ちょっと、ドキドキです。

「eLIO」とは何かというと、非接触 IC カードリーダ/ライタ「PaSoRi」に非接触 IC カードを読み込ませることで、カード番号を手入力しなくても簡単にカード決済できてしまう仕組みのことです。カード番号を入力しないので処理がスムーズであるだけでなく、カードに対するセキュリティが保たれる(カード番号を盗まれたり見られたりすることがない。もちろん、決済中のデータの送受信もセキュリティが確保される)ので安全、というのがセールスポイントになっています。
今回、PaSoRi はキャンペーン期間中につき無料でもらえてしまいました。去年の SDWE2002 の頃から何かにつけては無料で配っていますよね。

PaSoRi

このリーダ/ライタはほぼカード大、厚みが PC カード 3 枚分くらいで、本体からはバスパワーの電力供給を兼ねた USB ケーブルが一本生えているだけです。ホントにこんなシンプルなもので大丈夫なんだろうか、と思いますが、CLIE にも詰め込めてしまうくらいのものですからハードウェア的にはそれほどたいそうなものでもないのでしょう。

途中、何故だかうまく決済できなくて四苦八苦した挙げ句にソニスタに電話で問い合わせてしまったりしたのですが、結局 PaSoRi のセットアップ不良らしいということが判って(笑)セットアップし直したところ無事動作するようになりました(^^;

というわけで、Sony Style での買い物フローを進め、決済に「eLIO」を選択し、eLIO 決済に対応した「My Sony Card」を画面の指示に合わせて PaSoRi リーダにセットします。

eLIO 決済
My Sony Card

すると、一瞬の間を置いて決済が完了。通常のカード決済とはちょっと違って、ハイテク(死語)な感じがちょっと感動。でも、「シャリ〜ン」という音も何もなく決済が完了してしまうので、少し味気ないかな。ホントに「認証してるぞ〜」という雰囲気も何もなくサクッと完了してしまいます。あぁたったこれだけのことで私の○○万円が落ちていったのね、とか思うとあっけなさすぎて人の世を儚んでしまいます(ぉ

買い物自体はこれで終了なのですが、PaSoRi には他にもいろいろな非接触 IC カードを読み書きする機能があって、電子マネー「Edy」カードをセットすると

Edy Card(SDWE2002 記念限定 Edy Card)
Edy Viewer

「Edy Viewer」でカードにある Edy の残額が表示されますし、JR の「Suica」をセットすると

JR Suica(りんかい線全線開通記念限定 Suica)
SFCard Viewer

「SFCard Viewer」で Suica の残額や使用履歴が見れてしまいます。
まあ、まだ eLIO 以外はほとんど内容確認くらいしか使い道がないとか、非接触 IC カードのデータを閲覧するという似たような機能にも関わらずカードによって使うソフトウェアが違うとか、読み込むためには先にアプリを起ち上げておかなくてはならない(PaSoRi にカードをセットすると自動的に適切なアプリが起動して内容を表示する、といった気の利いた機能がない)など機能的・アプリケーション的に発展途上な面は多々ありますが、こういうサイバーな使い勝手を提供してくれるハードウェアは個人的には非常に好きなんですね。
でも、CLIE に内蔵できるくらいだから、B5 サイズ以上のノートにはそのうちパームレストあたりに標準で搭載されるような気もします。次期 SR あたり、そういった機能はつかないものでしょうか?少なくとも、私は今後ソニスタでの買い物はほぼ eLIO を使うような気がするので、PC に標準でついていてくれると便利で良いなあ、と思います。


[ 新緑の季節 ] 2003/04/20(Sun)
なんだか急に暖かいを通り越して暑くなってきましたね。昼間なんてもう半袖一枚でも良いくらいです。桜が散ったと思ったら、もう夏の準備が始まってしまうとは、今年もお天道様は気の早いことで。気温の変動の激しいこの季節、体調を崩さないようお互い気をつけましょう。
この週末の私は歓迎会だ何だで飲みっぱなしでした。連日の飲み会が続くとさすがにきつい・・・いや、肝臓じゃなくてサイフの方が(^^;

Sony Style にて VAIO U101 の販売価格が発表されています。
http://www.jp.sonystyle.com/Style-a/Product/U/
通常モデル「PCG-U101」が \159,800、512MB RAM+WinXP Pro な [WORKS] モデルの「PCG-U101/P」が \179,800。価格的にはほぼ予想通りのところで、ヨドバシビックでも同価格で予約受付を開始しています。通常モデルを購入するならポイントがある分量販店の方がお得ですが、メモリ価格を考えると、増設するなら [WORKS] の方がお得っぽい感じです。プライバシーフィルタもついているし・・・。残念なのは、L バッテリをつけて S バッテリをキャンセルできるパッケージがないところでしょうか。あの L バッテリなら常用するのに抵抗のない厚みですからね。
ソニスタでの予約販売開始は明日の夕方 17:00。エントリー順に案内メールが来ることになっていますが、けっこうエントリー数が多いことや U1・U3 の販売開始時には混乱のあった経緯を考えると、今回も例によってバタバタしそうな気がします。ソニスタ購入組の方は、がんばってくださいね(^^;

メルコがこの VAIO U101 に対応する増設メモリ「DM266」シリーズを発表しています。
ニュースリリース
http://buffalo.melcoinc.co.jp/products/new/2003/005_2.html
PC Watch の記事
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0416/melco.htm
発表されたのは、VAIO U101 に対応する DDR MicroDIMM の 256MB 版「DM266-256M」と 512MB 版「MD266-512M」の 2 製品。とはいえ、U101 はメモリスロットを 1 本しか備えず、標準で 256MB のメモリを搭載しており、メモリの増設には標準のメモリモジュールを外さなくてはならないため、実質 U101 用といえるのは 512MB 版のみ。価格は 256MB 版が \19,800、512MB 版は未定ですが 3 万円台後半あたりかな?それを考えると、ソニスタの [WORKS] モデルはなかなかリーズナブルといえます。無駄になるメモリもありませんしね。
256MB 版の方は、今のところ対応製品がない状態なのですが、意味のないものを発売するはずもないので、近々このメモリが対応するノート PC が登場するのは間違いないでしょう。MicroDIMM を積極的に採用しているノートといえば、B5 以下の VAIO ノートなので、そろそろ Centrino テクノロジに対応した SRX・C1M の後継機種が登場する予感。個人的には他の夏モデルと同じタイミングでの発表になると踏んでいるのですが、少なくともこのメモリが登場したということは、一部で悲観的に見られている「SR と C1 は打ち切り」とかいう噂は否定されることになるのではないでしょうか。
最近 U にばかり目が行って SR・C1 クラスにはあまり興味を示していない私ですが、一応 505・C1 ユーザーとしては Centrino でどんなマシンになるのか?昔のように面白いマシンが出てくるのか?非常に気になっております。うー、焦らさないで早く見せてくださいよ・・・>ソニーさん

■本日の一品
アキバでこんなもの買いました。

TM5600

いやあ、使い道も何もないのですが・・・\150 だったし。コレクションとしては面白いかな、と思って(^^;
でもナニゲに今自宅にある CPU って Transmeta が最大勢力のような気がする・・・。


[ 存在の証明 ] 2003/04/17(Thr)
みんな楽しみにしている「PCG-U101」の発売日が延期に。
ニュースリリース
http://vaio.sony.co.jp/Info/2003/products_0417.html
PC Watch の記事
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0417/sony.htm
最終的に決定した発売日は 5/3(土)。ソニスタで先行エントリーしたユーザーには来週月曜(4/21)あたりに購入案内メールが来て、翌土曜日(4/26)には商品到着、GW は U101 を連れ出してどこにでも行ってください!というノリを予想していたのですが、残念ですね。セットアップに半日〜1 日かかるとすると、GW にはほとんど使えないことになります。2/10 のネットワークウォークマンの発売日も、飛び石連休のど真ん中という変な日程で連休中は(フライング販売でゲットした人以外)遊べないという淋しいことになっていましたが、もうちょっとユーザーのことも考えて発売日決めてくださいという感じです>ソニーさん
延期の理由としては、「生産体制の見直し」ということですが、おそらく「ルミナスミラーロゴ」や Mobile Celeron 600A MHz といった部材の調達が追いつかないという判断によるものでしょう。メーカーの立場としては、発売日にある程度の数のユーザーに品物が行き渡らないと申し訳ない・・・という思いもあったのでしょうが、ユーザーとしては延期はやはり残念なわけで。Centrino/Pentium M および搭載製品発表に際しては、どちらかというと U101 よりも Z1 の方を売りたい雰囲気のあったソニー/ソニスタですが、U101 の反響がここまで大きくなるとは思っていなかったのでしょうか。ま、VAIOethics はモバイルノートにフォーカスしたサイトなので VAIO U を重点的に取り上げていますが、市場全体としてはスタンダードなプラットフォームである Z の方が台数が出て、特殊な U はどちらかというとニッチになることは間違いありませんが。それにしても重ね重ね残念です。
あ、でも私はまだ買うとは言ってませんよ。(笑


先日 800MHz FSB 対応 Pentium 4 と i875P チップセットを発表したばかりの Intel が、今日はモバイル向け CPU の新製品 3 モデルを発表しました。
http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press2003/030417.htm
発表されたのは、Mobile Pentium 4-M の最高クロック品となる 2.50GHz 版と、Mobile Celeron 2.20GHz・1.26GHz。Mobile Celeron の方は 2.20GHz が現在までの最高クロック品、1.26GHz は NetBurst アーキテクチャ(即ち Northwood コア)の Celeron としては最低クロック品となります。

実質、現行モデルでは Mobile Pentium 4-M を搭載する VAIO ノートは V505 しかなくなってしまいましたが、その V505 も(ソニスタモデル以外)最高クロックの Mobile Pentium 4-M を搭載するわけではなく、夏モデルでもおそらく 2.0GHz 程度のものを搭載するであろうことを考えると、あまり今回の発表で VAIO が影響を受けることはなさそうかな?と思います。GR シリーズは軒並みデスクトップ向け CPU だし、FR シリーズは AMD だし、NV はおそらく現行モデルで終了だろうし。

そう考えると、今回の新 Mobile Pentium 4-M の位置付けって微妙ですよね。「デスクノート」では既に 2.60GHz 版のデスクトップ向け Pentium 4 が採用されていますし、さらにはデスクトップ向け 3.0GHz を搭載した ThinkPad まで発表されてしまって、今さら 2.50GHz と言われてもピンとこない感じです。「デスクノート」で使われるデスクトップ向け CPU に比べて低消費電力・低発熱であるとか、SpeedStep に対応しているといったメリットも Centrino/Pentium M の登場によってほとんど意味をなさなくなってしまっていますし・・・。となると、今回の新 CPU の意味ってなんなんだろう?と思います。
おそらく、今後ノート PC でモバイルが必要な分野では急速に Mobile Pentium III/4-M から Centrino/Pentium M へのリプレースが進み、消費電力や重量を問題としないカテゴリではデスクトップ向け Pentium 4 あるいはそれに準ずる CPU が採用されていくことでしょう。Mobile Pentium 4-M という CPU 自体、そう遠くない未来に提供されなくなってしまう可能性が高いとみられます。
それでも敢えて Mobile Pentium 4-M のクロックアップを続ける意味というのは、従来 Mobile Pentium 4-M 向けに開発されたプラットフォームを手を加えずにアップデートできる(より高速な CPU を搭載してニューモデルとして発売する)ための、PC ベンダからのニーズがあるからでしょう。どんどん新しいシステムボードを開発していくわけにもいかないメーカーのために、あと 1〜2 シーズンは Mobile Pentium 4-M のクロックアップを続ける(ロードマップ上では 2.60GHz まで登場することになっています)と思われますが、その後は Pentium M とデスクトップ向け Pentium 4(あるいは -M のつかない Mobile Pentium 4)への二極分化が進むものと思われます。

この先には、「デスクノート」には Hyper-Threading テクノロジが採用され、いよいよ本格的にデスクトップの代替としてホームネットワークの中核に使われていくでしょう。しかし、Banias・Dothan の後継「Jonah」あたりの世代のプロセッサでは、いよいよ Hyper-Threading テクノロジに対応してくることでしょう。Banias 系のモバイルプロセッサ(Dothan・Jonah 等派生プロセッサを含む)はその消費電力の低さ・発熱の低さから近い将来高密度ブレードサーバへの応用が具体化し、デスクトップ向け SpeedStep テクノロジを搭載した高電力効率のプロセッサが誕生するといわれています。低消費電力のサーバ向け CPU が登場することは、世界的に企業の体力(=電力等のインフラに投資できる体力)が弱まっていること、そして企業の環境への取り組みが重要視される現在、という状況を考えると、十分に普及する理由は揃っているように思います。
こうなったあたりから、いよいよ元ノート PC 向けプロセッサが省スペース PC やサーバに殴り込みをかける(ま、元がキャンセルされた低価格/一体型 PC 向けのチップセット統合 CPU「Timna」が技術ベースになっていると考えると、本来あるべきプラットフォームに戻ってきたという見方もできますが)という構図が生まれてくるのですが、おそらくこの時点では「クロックあたりの性能はお世辞にも高いとは言えないが、クロックの向上はさせやすい」という Pentium 4 のアーキテクチャに対する矛盾が生じてくることになると思います。Centrino では、無線 LAN などのホットな技術をうまく取り込み、動作クロックを意識させないマーケティング戦略(Banias のときは主にベンチマークに基づいた実パフォーマンスの指標を PC ベンダ側に出させるよう苦心していた)を打ち出してきましたが、Centrino の大きなアピールポイントの一つであるモビリティをアピールできないデスクトップの世界で、どれだけ効果的なアピールを行うことができるか。これまでの AMD をはじめとした競合メーカーに対するパラノイアックな CPU 戦略へ疑問を投げかける話ですし、Intel のマーケティング戦略の自己否定ともいえる話なのですが、今後の Intel CPU を測る上で非常に興味深いポイントだと思います。

まあ、そこまで構えなくとも、単純に「Mobile Pentium 4-M」というアーキテクチャと「Banias」というアーキテクチャの比較の話なのですが、これらの CPU が何を目指しているのか、市場は何を欲しているのか、そして今後のノート PC はどこへ向かうのか、忘れずに見守っていきたいと思っています。

■記事リンク
PC Watch の記事
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0417/intel.htm
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0417/ubiq1.htm
ZDNet の記事
http://www.zdnet.co.jp/news/0304/17/nebt_02.html
http://www.zdnet.co.jp/news/0304/17/njbt_05.html
MYCOM PC WEB の記事
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/04/17/51.html
ASCII24 の記事
http://ascii24.com/news/i/tech/article/2003/04/17/643105-000.html


[ PORTER ] 2003/04/16(Wed)
Sony Style の「Style Member」向け企画である「究極のモバイルバッグ」、昨日から販売が始まっていますね。
http://www.jp.sonystyle.com/Customer/Original/
私は最近特に新しいバッグが欲しいという欲求もないし、何より高価なので(笑)今回のオリジナルバッグはパスなのですが、掲示板で話題に上っていたので今日はちょっとその Sony Style×吉田カバンのお話を。

最初に Sony Style と吉田カバンがコラボレートしたのは確か「DSC-P5」発売時のオリジナルケースだったでしょうか?あのケースは本来 PORTER が女性の化粧品ポーチとして発売していたものを Cyber-shot 用にサイズや間仕切りを変更して作ったモノだったと思います。当時、P シリーズは気にはなっていたものの、F707 を買うために他の製品に気を取られているヒマはない、と思っていた私ですが、何気なーくソニスタのサイトを眺めつつ「PORTER のケースいいなぁ〜」と思っていたら、いつの間にか気を失ってしまい数日後には P5 が届いていた・・・というわけです(笑)。思えば、あれが現在の「いつの間にかエントリしていた」→「いつの間にか『購入』ボタンをポチッとな」→「いつの間にかソニスタの箱が届いていた」という果てしない投機活動の始まりなのですが(汗

それはさておき、今までソニスタ×吉田カバンのオリジナルバッグ/ケースっていくつあったでしょうか?DSC-P5、P1、P9、U10、U20、PCG-VX7、U1、MZ-E10、N10、2002 冬のありがとうキャンペーン、NDR-XR1 の DVD ポーチ・・・と、さっと思いつくだけでもこれだけ存在します(思い出せないのもある)。加えて VAIO 純正アクセサリとして VAIO×PORTER のスマートバッグ CX(新旧 2 種)があることを考えると、本当にちょっとしたコレクションができてしまうくらいにたくさんのコラボレーション製品を作っていますよね。
私はもともと吉田カバンのバッグはけっこうファンで、学生の頃にレコードレーベルとのダブルネームのレコードバッグを愛用したりしていたので、最初の頃は「PORTER×Sony Style かぁ〜」とありがたがっていたのですが、一時期粗製濫造気味になったときくらいから「もう吉田はいいよ」と思い、この Column やソニスタのイベント等で公言して憚らなかったのは皆さんご存知だと思います(^^;最近ではコカコーラのキャンペーン賞品も作ったりしているので、吉田カバンというブランドのありがたみが薄くなってきているような気さえします。

先日も、新 CoCoon を見にお台場に行った際に、NDR-XR1 の購入特典である吉田カバン製 DVD ケースを見せていただきました。ホワイトのディアスキン(鹿革)で非常に手触りが良く、ファスナー周辺の処理なんかもそのへんの CD ショップでアクセサリとして売っているポーチとは作りが全然違い、「やっぱり良い仕事してるなあ」とは思ったのですが、それでも「そろそろ吉田はいいんじゃないですか?」とスタッフの方に突っ込んでみました。
しかし、こんな答えが返ってきました。

「国内製でクオリティの高いバッグを作ろうとすると、吉田しかないんです」

もちろん、他のブランドとコラボレートしたときよりも PORTER のロゴを入れたときの方が人気が高いのは事実らしいですし、おそらくこれだけ長い付き合いになったら毎度何かやらないと義理が立たないみたいなウェットな部分もあるのだろうと推測していますが、「Sony Style らしく」クオリティを重視してバッグを作ろうとすると、国内では吉田カバンくらいしか見つからないそうです。BEAMS をはじめ、大手のセレクトショップ等がオリジナルバッグを製作する際も、生産を国内で行う場合はほとんどが吉田カバンに生産委託されているとか。それくらい吉田カバンの縫製技術やカバン作りのノウハウは、他社とは水準が違っている、というお話を伺いました。吉田でなかったら、海外でヴィトンに頼むか、ちょっと違うけどゼロハリに頼むか、という世界になるそうです。ホントかどうかは分かりませんが、多少大げさにしてもある程度は真実なのでしょうね。これだけ吉田カバンが支持されているのは、単なるイメージ戦略の賜物とは思えませんから。

でも、モノが良いのは十分すぎるほど理解していますが、個人的にはそろそろソニスタの企画モノでは「PORTER」のタグを外しても良いのではないかと。PORTER ロゴが入るとどうしても「それっぽい」デザインになってしまって、どちらかというとカジュアル寄り(良くてビジネスカジュアル)のデザインになってしまうんですよね・・・。一見吉田カバンっぽくないデザインで、どこにも「PORTER」のロゴも「LUGGAGE LABEL」のロゴもないんだけど、カバンの内側に「Sony Style」のロゴ入りタブが縫い込まれていて、実は裏返すと「株式会社 吉田」とか刺繍されているとマニアックで Good!なんて思うのですが、いかがでしょうか(^^;


[ 800 ] 2003/04/15(Tue)
Cyber-shot P1 で不具合発覚。ソニーは無償修理で対応、事実上のリコールとなっています。
ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/ServiceArea/DSC-P1/
PC Watch の記事
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0415/sony.htm
この不具合は以前から一部ユーザー間で問題になっていたようなのですが、症状は「バッテリ表示はフル充電になっているのに、実際はほとんど充電されていない」あるいは「充電してもすぐに電池切れになってしまう」というものです。
発煙や破裂などの危険が伴う類のものではないのですが、電源周りのトラブルは深刻な故障の原因となるもの。今でも P1 を現役で使っているユーザーさんは少なくないでしょうから、早めのご対処を。

Intel から、800MHz FSB に対応した CPU と新チップセットが発表されました。
ニュースリリース(英文)
http://www.intel.com/pressroom/archive/releases/20030414comp.htm
800MHz FSB(400MHz の DDR)に対応した Pentium 4 3.0GHz(Hyper-Threading 対応)と、それに対応する新チップセットの「875P」(コードネーム Canterwood)。Pen3 3GHz の方は既存の 3.06GHz 版の FSB および動作周波数を変更したものにすぎませんが、初の 800MHz FSB 正式対応 CPU であると同時に、Pen4 3.06GHz よりも実売で \10,000 近く安い(最安値付近では \50,000 強)となっています。しかしながら、この月曜に秋葉原で販売開始されたものの、初期ロットの一部個体で問題が発覚したらしく、同日には販売を停止、店頭からも回収されてしまっています。
一方、i875P チップセット(こちらは問題なく販売開始されている)の方はというと、従来の i850 チップセットを置き換えるものになっています。かなり大きな変更が加えられており、その内容は FSB の高速化のみならず、メモリアクセスを高速化する「PAT(Intel Performance Acceleration Technology)」やネットワークアクセスの高速化アーキテクチャ「CSA(Communication Streaming Architecture)」の実装、8 ポートの USB 2.0 と Serial ATA(RAID0)に対応する ICH5 の採用、さらには Intel の次期デスクトップ向け主力 CPU「Prescott」への対応、など多岐に渡っています。現在のところ最強の Pentium 4 向けチップセットといえるのですが、ただでさえ高価な DDR400 対応メモリをデュアルチャネル(二枚単位)で使用せねばならず、コスト高になります。したがって、PAT やデュアルチャネル DDR に対応せず、グラフィック機能内蔵型も用意されるというコストパフォーマンス重視型チップセット「i865」(コードネーム Springdale。5 月発表の見込み)がメインストリーム向けには主流となるだろう、と言われています。

新しい CPU やチップセットが登場すると、決まって気になるのが新しいマシン。次期 RZ シリーズは、どのようなマシンになるでしょうか?来月、i865 チップセットと同時期に発表されるとみられる Pentium 4 3.20GHz を搭載することはまず確実だと思いますが・・・。
PCV-Rx シリーズのハードウェアは伝統的に Rx7x と Rx6x で共通のマザーボードを用い、CPU クロックとメモリ・HDD 容量で差別化する傾向がある(例外なのが Pentium 4 登場時の RXx1 シリーズで、RX71K が Pen4+i850、RX61K が PenIII+i815 という構成だった)ため、基本的には RZ72/P・RZ62 で共通の i875P チップセットを採用してくるのではないか、とみています。
問題は RZ52 がどうか、ということなのですが、最近のデスクトップ VAIO(RZ5x・MXS)の SiS チップセット路線から考えて Hyper-Threading に対応した SiS655 あたりが順当かな?と思います。チップセット価格の差額を織り込んでも敢えて Springdale-G(i865G:グラフィック内蔵型チップセット)という可能性もあるかもしれませんが。

来月中旬には、おそらく i865 チップセットファミリーおよび Pentium 4 3.20GHz の発表を受けて VAIO の新製品も発表になるものと思われますが、このとき同時に発表される Hyper-Threading 対応 Pentium 4 2.80/2.60/2.40GHz がこの夏の VAIO デスクトップシリーズに軒並み搭載される可能性が高いと思われます。広帯域な 800MHz FSB に対応し、なおかつプログラムをマルチスレッドでざくざく処理していける Hyper-Threading テクノロジに対応したこの CPU・チップセットのコンビネーションは、「VAIO Media」をさらに一歩推し進めたい VAIO にとって魅力的なソリューションと言えますからね。
しかし、HT 対応で「ホームサーバー」としてのパワーが増強されるのはありがたいのですが、その一方で「モノづくりの復権」を期すと宣言した VAIO が、「VAIO Media」や「Giga Pocket」といった従来のキラーアプリケーション以外の部分でどれだけユーザーにアピールできるモノを作ってくるか、という点も注意深く見守っていかなくてはなりません。

また、少し気になるのは今回の Pentium 4 3.0GHz の回収騒ぎでしょう。なにやら、秋葉原ではフライング販売を開始して 3 時間ほどで代理店から回収の指示が来たショップがほとんどだった、という話です。i820 チップセットや Coppermine プロセッサ登場前後のもたつき、そして台湾での大地震の影響で大打撃を受けた 1999 年頃の PC 業界とは違い、今回はそこまでの混乱にはならないでしょうが、せっかくの新 CPU の回収騒ぎは無視できませんし、中国〜東南アジア圏を中心に大きな問題となっている SARS 肺炎がこの夏以降の業界動向に影を落とさないとは言い切れません。加えて収束しつつあるとはいえイラク戦争の影響なども考慮すると、なかなか前向きな材料ばかりが揃っているとは言い難い業界状況ですが、いち PC ユーザーとしては無事この新しいプラットフォームが離陸し、また面白い PC がたくさん出てきてくれることを祈るばかりです。


■記事リンク
PC Watch の記事
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0414/intel.htm
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0415/intel.htm
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0415/hotrev208.htm
AKIBA PC Hotline! の記事
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20030419/fsb800p4.html
ASCII24 の記事
http://akiba.ascii24.com/akiba/news/2003/04/14/643015-000.html
http://akiba.ascii24.com/akiba/news/2003/04/14/643031-000.html
http://akiba.ascii24.com/akiba/news/2003/04/15/643053-000.html
ZDNet の記事
http://www.zdnet.co.jp/news/0304/15/nj00_fsb800.html
http://www.zdnet.co.jp/news/0304/15/nebt_09.html
MYCOM PC WEB の記事
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/04/15/50.html
http://pcweb.mycom.co.jp/benchmarklab/2003/09/


[ SCPH-50000 ] 2003/04/14(Mon)
昨日購入した Net MD ドライブ「MDU-PC(H)」ですが、その後何とか動作させることに成功しました。対応としては、私の持っている某製品のドライバをゴニョゴニョ(以下自粛)のであまり大っぴらには書けませんが(笑)、とにかく無事動いています。いろいろありがとうございました>ご協力いただいた各位
使用感は悪くないですね。今まで MDLP は専用機で直接録音していたのですが、PC で高速にエンコードして直感的な UI を使って管理できるというのがこれだけ利便性が高いということに初めて気づきました。が、必ずしも同じフォーマットではなさそうな PC 向けの ATRAC3 と MDLP に使われている ATRAC3 では転送時に一度再エンコードの処理が入って音が悪くなってしまいそうな気がするので(ATRAC3 105Kbps で管理している曲データを MDLP LP2 モードで転送するとまず間違いなくビットレートが違うため、変換処理が入っているでしょう)、やっぱり音質を気にするなら CD→MD の直接ダビングがいいかな、と思います。
一部掲示板等で「うるさい」と言われている動作音ですが、通常動作時は全然静かです。ただ、転送・編集作業を行った際に TOC 領域にヘッドが移動するときの音(と思われる音)が本当に壊れているんじゃないかというくらい大きいのでビックリします。とはいえ、冷却ファンでうるさい私の自作 PC の動作音と比較するとそれほど気にならないとも言えますし、わざわざ内蔵ドライブで再生しなくても再生機器は腐るほど持っているので(笑)どうせ PC 内蔵ドライブなんて録音・編集にしか使わないから、気にしないことにしています。ただ、やっぱり SonicStage が重いのと転送中は他のアプリの動作に支障を来すほどマシンパワーを持って行かれるのだけは何とかならないものでしょうか。

SCEI が PlayStation 2 の最新バージョン「SCPH-50000」を発表しました。
ニュースリリース(PDF)
http://www.scei.co.jp/corporate/release/pdf/030414.pdf
GAME Watch の記事
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20030414/scej.htm
AV Watch の記事
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20030414/scei.htm
PS2 といえば、最近も相変わらず売れているようで、量販店のゲーム売り場ではほぼ恒常的に売り切れ状態が続いていますね。\24,800 に値下げされ、春の限定カラーが登場した「SCPH-39000」の人気は上々のようで、こないだもビックカメラで再入荷したばかりの PS2 が次々に売れていくさまを目の前で見たりしています。新生活が始まるこの時期、DVD プレイヤーとして購入する向きも少なくないようで。ヘタに専用機を買うのと値段は変わりませんからね。
で、この「SCPH-50000」なのですが、DVD プレイヤーとしてのスペックがかなり向上しています。従来も、ドルビーデジタルおよび DTS に対応し、一部ロットでは高品位な RGB 出力まで可能、かつリモコンも使用可能という、DVD プレイヤーのエントリーモデルとしては十分なスペックを誇っていた PlayStation 2。現在世界中で最も普及している DVD プレイヤーであったりもします(仕様が少しずつ変更になっているとはいえ、一種類の DVD プレイヤーが全世界で 5,000 万台以上出荷されていると考えると、すごいことです)。
その PlayStation 2 が、新モデルでは DVD-Video 映像のプログレッシブ出力に対応。専用機では \25,000 前後の価格帯の製品でようやく対応し始めるプログレッシブ出力ですが、同じ価格帯で PS2 が対応してしまうインパクトは大きいのではないでしょうか?果たして PS2 でプログレッシブ出力を必要とする層がどれだけいるかは甚だ疑問ですが、最近のテレビは安価な 28 インチクラスの製品からプログレッシブ入力に対応していますし、来るべきデジタル放送の時代を踏まえるとプログレッシブ出力への対応は必須だったとも言えそうです。
また、DVD±RW/±R の再生、VR モード記録の DVD-RW ディスクの再生をサポートしています。DVD±RW レコーダ「RDR-GX7」の発売等、DVD+RW 戦略を推進するソニーの方針に合わせた格好になっていますね。やはり、一般的なプレイヤーとは出荷量の一桁違う PS2 でサポートすることの意味はかなり大きいということでしょう。
冷却ファンの静粛性も大幅に見直されていて、騒音レベルで約 1/4 に静音化されたといいますから、DVD プレイヤーとしての機能は大きく向上しています。映像用 DAC のスペックが公開されていなかったり、数字的に未知数な部分も多いですが、基本仕様としてはそこらへんの安物 DVD プレイヤーを上回っていると思います(リモコンの操作性、という点ではおそらく専用機に一歩譲りますが)。逆に PS2 の DVD プレイヤーとしてのスペックが、その時期の専用機の廉価モデルにおけるスペックの指標になっている部分もあるのではないでしょうか。何しろ、低価格プレイヤーとしてはシェア No.1 ですからね。
また、DVD プレイヤーソフトのバージョンも 3.00 となり、操作性が向上したほか、本体にリモコン受光部を内蔵し、従来機種のように専用レシーバにコントローラポートを占有されることなくリモコンが使用可能になっているのには惹かれますね。しかも、今回モデルチェンジするリモコン「SCPH-10420」(別売)では今まで行えなかった本体電源のオン/オフ、イジェクトスイッチの操作まで可能といいますから、DVD プレイヤー機能重視のユーザーでなくとも気になるところ。
最近では、PS2 で DVD 再生環境を手に入れて、次第にホームシアターの世界に流れていくも少なくないでしょうから、PS2 が「そこそこ使える DVD プレイヤー」という感じになるのは歓迎すべきことだと思います。PS2 で DVD を見てみたけれど、インターレースのギザギザが気になってがっかり、とか、せっかく友達にもらったこないだの旅行の DVD-R が PS2 で再生できなくてがっかり、とか、PS2 を DVD プレイヤーとして使ってみようと思ったけど、リモコンのあまりの使えなさにがっかり、という感じで、そのまま「DVD ってあまり良くない」みたいなイメージになるよりは、大多数のユーザーにそれなりに満足してもらえるスペックを持っていて、DVD ユーザーの裾野を広げてくれる今回のモデルはかなり魅力的。私は専用機ユーザーなので、PS2 を DVD プレイヤーとして使うことはほとんどなくなってしまいましたが、密かに新しいリモコンの使い勝手がかなり気になっています。これだけでも旧機種に対応していれば・・・。でも、発売当日に購入してかれこれ 3 年経った私の初代 PS2 もそろそろ買い換え時かなぁ、と思っていたところなので、ちょっと迷ってます。この際だから一緒に PlayStation BB Unit も買ってヴァナ・ディールに乗り込もうか・・・とかいうことも考えてしまいますが(^^;このスペックで Zen Black とかが出てしまうとかなりキケンだなあ。
しかし、先週末の再入荷あたりで SCPH-39000 を買った人は悔しいでしょうね。限定カラーではありますが・・・。


[ MDU-PC(H) ] 2003/04/13(Sun)
先週、AKIBA PC Hotline! でニュースになり、その後某サイトの掲示板等でも話題になっていたケンウッド製内蔵用 Net MD ドライブ「MDU-PC(H)」を買ってきました。
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20030405/etc_netmd.html
KENWOOD MDU-PC(H) \5,800 (税抜、パソコンショップ アーク
どうやら日立が昨年夏にリリースした Net MD 内蔵 PC「Prius Deck 570C」に搭載されていたものと同等品のようです。ケンウッド自身も昨年秋に USB 接続の外付け Net MD ドライブ「DM-1NET」という製品を発売しています(実売 \24,000 前後)。
今週になって複数のショップに入荷し、この週末は一部でけっこうな人気が出たようです。売り切れ店も続出のようで、私が購入したアークでも「お一人様一台まで」の貼り紙がされていたくらい。やっぱり、安いですからね・・・。

MDU-PC(H)で、これが問題の「MDU-PC(H)」。銀色のフロントベゼルです。
もともと Prius Deck が縦置きを想定している製品のため、縦置きを考慮してロゴ等の印字が縦向きになっています。イジェクトボタンが再生(あるいはコマ送り)ボタンに見えます(笑)。
I/O PORT背面の入出力端子はシンプルなもので、USB(B 端子)とアナログオーディオ出力、電源コネクタ程度しかありません。ATAPI や SCSI じゃないので内蔵ドライブによくあるジャンパもなく、スッキリしています。
オーディオ出力がアナログのみなのは、PC ということでデジタル出力すると著作権的にいろいろ問題アリだからでしょうか。
SET UPさっそく自作機に取り付けてみました。多少古いけどさりげなく全部ソニー製で揃っていたドライブがちょっと自慢(笑)。
やっぱり白筐体にシルバーのドライブは違和感がありますね。ロゴが全部横を向いているのもなんだかなあ(笑)。個人的にはなんとか 3.5 インチで作ってほしかったところですね。
It doesn't work....が、しかし。
・・・動きません(笑)。ドライバがないんですね・・・。
いろいろ思いつく限りの試行錯誤はしたんですが、うまくいきません。日立、ケンウッド共にドライバは一般公開していないようです(ケンウッドのサイトからドライバをダウンロードできるのは、同社リテール製品の正規ユーザーのみ)。
手詰まりになってしまった・・・。

Net MD レコーダは「LAM-1」を持っているので特に必要としていなかったのですが(というかそれ以前に LAM-1 も単なる MDLP レコーダとしてしか使っていないのですが)、安いし、久しぶりに遊べそうなパーツということで、ダメモトで購入してみたのですが、ここまで見事にはまってしまうとは。使えそうなドライバが提供されているかどうかくらいは事前に調べておくべきだったかな、と思います。しかし、物理的なモノはあるわけですし、故障品でもないわけですから、何とかできないことはない・・・というわけで、もう少し試行錯誤してみるつもりです。かといって正常動作させることができたとして、ライセンス的にアレな手法を使うことになる可能性もあるので、大っぴらに書けないかもしれないのですが。
もしこれについて詳細をご存じの方がいらしたら、情報求む。


[ Headphones Maniax 2 ] 2003/04/12(Sat)
ふと思い立って、ソニーのインナーイヤーヘッドホンの最上位モデル「MDR-E888SP」を買ってみました。
ずーーーっと聴き比べてみたいと思いつつ、安いものでもないのでなかなか縁がなかったのですが、思い切って。
というか、今年に入ってから月に一本はヘッドホン系を購入している気がします(笑)。

MDR-E888SPMDR-E888SP。もうかれこれ 6 年も(1997 年発売)ソニー製インナーイヤーヘッドホンの最上位に居座り続けているモデルです。最上位モデルだけあって、下位機種とは一線を画すデザイン。キラキラしていて却って少しやらしいかも(^^;ちなみに、パッケージも現代の製品とは思えないくらい過剰包装気味です(笑)。
ケーブルとダクトの接合部はフレキシブルになっていて、高い装着感を実現しているそうですが、逆にこれが故障の原因になりやすかったりもするらしいです。
HOUSINGハウジングは一般的なインナーイヤーヘッドホンと比べると薄型になっています。しかし、ユニット径が大きめ(16mm 以上あるっぽい)ので、合わない人はすぐに耳が痛くなりそうです。ちなみに私もイマイチちゃんと装着できていないような気がします。でも薄型じゃなかったら更に違和感がありそうなので、薄型化によって装着感が良くなっている部分は確かにあるのかも。
いずれにしても、長時間の連続装用は厳しいかもです・・・。
THE PLUG COUSIONヨドバシのヘッドホン売り場をうろうろしていたら、音に聞く「KOSS The Plug」の交換用イヤークッションを発見したので試しに買ってみました。\380 也(税別)。
なぜかというと・・・
MDR-EX71SL/THEPLUG以前購入したけどもう一声物足りない「MDR-EX71SL」にこのイヤークッションをつけてみたらどうなるだろう?と思ったからです。本来 EX71SL 向けに作られているクッションじゃないので少し無理していますが、柔軟性の高いクッションのため何とか装着できました。
クッション自体はイヤーウィスパーと同じように簡単に変形させることができ、復元力で耳にフィットさせるようになっています。
COMPAREと、いうわけで、愛用の「B&O A8」を含めて聴き比べてみました。再生ハードは CD ウォークマン「D-EJ2000」です。私の場合、二年近く使い込んできたおかげですっかり A8 がリファレンスヘッドホンになってしまっているため、評価は辛めかも?

1. MDR-EX71SL(ノーマル)
こんなもんでしょうか。他を聴かずにこれだけ聴いている分には十分な音のような気がします。少なくともポータブルプレイヤー付属のイヤホンより全然良いでしょう。
低音がよく出ていて、今回聴き比べたものの中で最も低音にボリュームがあります(それでも、EX70SL からバランスが改善されてずいぶん聴きやすい音になったとは思いますが)。カナル型の特徴でしょうが、やや音がこもりがちな印象があります。

2. MDR-EX71SL(The Plug 仕様)
うおー、なんだこれは(笑)。失敗だぁ。
ノーマルの EX71SL よりもさらにこもりがひどく、音が遠く感じるようになりました。ただでさえ吸音性の高そうなパッドなのに、パッド全体の長さが長いせいで耳に到達する前に音が半分くらい消えてしまっています。The Plug 自身はドライバユニットが長く、クッションの奥深くに挿さる仕様のようなのですが、EX71SL のドライバユニットは短めなのでそこが敗因かも(笑)。
長さを何とかできればもう少し感想も違うのかもしれませんが。

3. MDR-E888SP
おおっ、やっとまともな音が(笑)。
EX71SL(ノーマル)より全然ヌケの良い音です。最上位モデルということでもっとモニターっぽい傾向の音をイメージしていたのですが、実際の音はけっこうパワフルで、全体的にドライバユニットが音を「押し出している」という感じで鳴るのが印象的でした。まだエージングが済んでおらず、硬い音なのでこれで最終的な判断を下してしまうのは危険ですが・・・。
とにかく、高域から低域までしっかり鳴らしてくれるイヤホンだな、と思いました。問題は長時間つけていると耳が痛くなりそうなことでしょうか。

4. B&O A8
やっぱりこの音を聴くと安心しますね(笑)。装着感、音の鳴り方ともにエアリーで違和感を感じません。
全体的なボリューム感というかパワーに関しては E888SP ほど強くはないのですが、全域にわたって手抜きがないというか、A8 を聴いた後に E888SP を聴くと、ところどころ音が見えてこない部分がある(例えて言うなら CD の音質と MD の音質の違いみたいなものでしょうか?)ような気がします。クセのない、言葉を変えれば特徴の少ない音なのですが、ヌケの良いナチュラルな音質で、特にアコースティックな音源でその再現力を発揮すると思います。
やっぱり高いだけのことはありますね。

E888SP と A8 間の音質の差は、価格差だけの違いがあるかと言われれば微妙なところかもしれません。聴く音楽によって明らかな差があるとも言えますし、逆にジャンルによっては E888SP の方がハマるものもあるでしょう。が、個人的な好みや装着感、デザインまで含めると「\14,000 払う価値はあるもの」だと思いました。どちらも確かに「いい音」ではあると思うのですが、ここまで明確に性格が違うと比較してみても面白いですね。私はこういうことについては素人なので、買ったときには「あまり違いが分からなかったらどうしよう・・・」と思っていたのですが、杞憂に終わりました(笑)。

ま、でも E888SP も面白いヘッドホンですし、もうしばらく使い込んでみようと思います。
ところで立て続けに EX71SL と E888SP を買うお金があったらもう一本 A8 が買えたとかいうことは考えない方向で(笑)。


[ EDEX2003 ] 2003/04/10(Thr)
4/9(水)〜11(金)の 3 日間、有明は東京ビッグサイトにて電子ディスプレイの展示会「EDEX2003 電子ディスプレイ展」が開催されています。
http://edex-ess.jesa.or.jp/
ソニーと東芝松下が研究開発の先陣に立っている有機 EL ディスプレイの動向は注目すべきですし、他にもホームシアターや高画質コンテンツの人気により前年度比 3 倍という勢いでいよいよブレイクしたプラズマディスプレイ、ニーズが多様化しサイズもアプリケーションも大きく広がった液晶ディスプレイなど、情報産業に限らず AV 製品の観点からも最近ディスプレイ産業に個人的にかなり注目しているのですが、VAIOethics 的にひとつ気にしておかなければいけないのが、U101 にも採用されたシャープCG シリコン液晶に関する報道です。
http://www.zdnet.co.jp/news/0304/10/nj00_edex.html
CG シリコン液晶といえば、最近では小型パネルがシャープ製携帯電話Zaurus などに相次いで採用されているほか、我らが U101 には現行で最大サイズとなる 7.1" XGA パネル が搭載されることになっています。しかし、上記記事の中では、更にこんな一節が。

> 「7.4型WXGAタイプは、ノートPC向けとしてすでに出荷されている。近いうちにワイド画面のシステム液晶を搭載したノートPCが登場するだろう」(同社)。

この 7.4 インチ液晶。おそらく 7.1 インチ XGA とドットピッチが同じパネルを横長に切ったものだろうと思われますが、7.4 インチワイド XGA(1,280x768)といったら、現行の C1M シリーズに採用されている 8.9 インチウルトラワイド SXGA(1,280x600)に比べて画面サイズ自体は小さいものの縦方向の解像度では C1 より高くなるわけで、かなりの高精細ディスプレイということになります。で、問題は、この液晶を搭載したノート PC というのがどのベンダのどの製品なのか、ということです。

個人的に期待してしまうのは、やはり VAIO C1 シリーズです。屋外での使用を重視したナビマシン「PCG-C2GPS」は、コンセプトこそ面白かったものの、屋内での使い勝手が悪い反射型液晶、もたないバッテリ、そして感度の悪い GPS ユニット、とコンセプトに比べてテクノロジーがついてこず、やや時期尚早にすぎた感がありました。しかし、U101 への微反射 CG シリコン液晶の搭載により、C2 シリーズの再来を期待した人は少なくないでしょう(私もその一人です)。ところが、残念なことに、カーナビゲーションシステムの低価格化・一般化を理由に Navin' You は既に開発を終了し、2002 年秋冬モデルを最後に VAIO シリーズへのプリインストールはおろか、リテール販売さえも行われなくなりました。比較的使い物になる GPS ユニットが複数リリースされ、モバイル PC のバッテリ性能が大きく伸び、屋内外で十分に使えるハイブリッドな液晶パネルが登場し、PC ナビ環境の構築にはこれ以上ないくらいに機は熟したというのに、まさに賢者の贈りもの状態です(涙)。

しかし客観的に考えてみると、C1 の後継機種への搭載はないのではないでしょうか。現行 C1 のサイズがタッチタイプができる限界サイズであると個人的には思っているので(そもそも初代 C1 は先にキーボードサイズが決定してからそれに合わせて画面サズが決まったという話ですし)、C1 でこれ以上の小型化は考えにくいと思います。7.4 インチワイドだと VAIO U との差別化がしづらくなりますしね。
それでは、他社製品ではどうかというと、他社製品も 7.4 インチというと微妙なサイズなんですよね。Libretto は 10 インチワイド(1,280x600)だし、InterLink XPLOOX の小さいほう(LOOX S)は 8.9 インチワイド XGA(1,024x600)。縦横比で考えると InterLink か LOOX が多少小型化してこの液晶を搭載する可能性が高いかな、と思います。6.4 インチ液晶を搭載する sigmarion シリーズが、間もなく発表される新モデルでは大きくスタイルを刷新してくるという噂ですから、この液晶を搭載するのは意表をついて sigmarion III だったりして!?と思わなくもないですが(笑)。
個人的には、この液晶を搭載した「遊べる」マシンとして Libretto がフルモデルチェンジして、初代 Libretto 20 のような人気を博したりすると面白いだろうな、と思うのですが、Crusoe 以後の Libretto は少し大きめの液晶と通常サイズのキーボードを装備した「ビジネス向けミニノート」を目指しているようなので、あり得ないかな、と。LOOX はソニーが去った(いや、まだ完全撤退と言い切れるわけではないですが)後の Transmeta のファースト・パートナーとして、TM8000 のリリースまでは大幅なモデルチェンジはできないような気がしますし、そう考えると VAIO U と比較されることも多い InterLink XP あたりが妥当な線ではないかな・・・と予想しています。次期モデルでの ULV Pentium M あるいは Banias-Celeron の搭載は堅いでしょうし。

今日は、DELL から初の i855GM(Pentium M 向けグラフィックス機能統合チップセット)搭載ノート「Inspiron 500m」も発表されています。本日時点で既に受注開始されていますので、他メーカーからも追って搭載製品が発表されることでしょう。SRX や C1M の後継機種について具体的な話はまだ何も流れてきていませんが、キーデバイスとなりそうな統合チップセットが正式に出荷開始され、LV/ULV Pentium M の出荷開始も間もなくであろうと思われます。薄型 A4 が中心だった Centrino ノート第一弾とは打って変わって、夏モデルでは各社一斉に 10.4〜12.1 インチクラスの Centrino モバイルノート、およびミニノートの力作を投入してくるでしょう。SRX の後継機種を前のめりになりながら待ち続けている皆さんにはもどかしい時間でしょうが、もう少し、楽しみに待ってみましょうか。

■記事リンク
ZDNet の記事
http://www.zdnet.co.jp/news/0304/10/nj00_edex.html
http://www.zdnet.co.jp/news/0304/10/nj00_edex_el.html
PC Watch の記事
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0409/edex.htm
AV Watch の記事
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20030409/edex.htm


[ RDR-GX7 ] 2003/04/09(Wed)
かねてから話題になっていた、世界初の DVD±RW デジタルレコーダ「RDR-GX7」が国内で正式発表されました。
ニュースリリース
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200304/03-0409/
製品情報
http://www.sony.jp/products/digitaltheater/contents/dvd-recorder/
AV Watch の記事
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20030409/sony.htm
DVD±RW 対応といっても、2 月にひっそりと発売された DVD-RW レコーダの新製品「RDR-A21」に単に DVD+RW 機能を加えたものではなく、デザインも機能も随分違うものになっています。EPG 予約に対応していたり、BS アナログチューナ内蔵だったり(もちろん EPG 対応)、画質面もゴーストリダクションチューナや三次元 Y/C 分離回路内蔵など、従来のソニー製デジタルレコーダで培った技術をふんだんに盛り込んである感じ。完全に RDR-A21 の上位機種といった感じですね。
+RW にすると何が良いか、というと、記録時のファイナライズ処理が自動なんですね。なので、録画して気軽に他の DVD プレイヤーに読み込ませることができる、というわけです。DVD-RW だとファイナライズが面倒なのですが、こちらは「1 回のみ録画可能」(CPRM)なコピー制御番組の録画に対応しています。そして、一度しか記録できないけどメディア単価が安く配布に向いており、なおかつ再生互換性も高い DVD-R。どれも一長一短なのですが、この 3 メディアに対応しているというのが RDR-GX7 のセールスポイントなのです(ライトワンスの DVD+R には非対応)。
この RDR-GX7 をいち DVD レコーダとして見るとなかなかイイ感じに仕上がっていますし、どちらかというと +RW フォーマットに傾きかけているワールドワイドの記録型 DVD 市場の動向を考えると非常に意味のある製品であるとは思うのですが、デジタルレコーダの市場が急激に伸び、中でもハイブリッドレコーダが特に注目を浴びている現状を踏まえると、単体レコーダとしての登場はやや遅きに失した感があります。むしろ、新 CoCoon「NDR-XR1」の前に RDR-GX7 を出せていて、さらに DIGA に先んじて発売することができていれば、もう少しインパクトもあったんですけどね。
現行のソニー製デジタル光ディスクレコーダとしては、DVD-RW な「RDR-A21」にハイブリッド「NDR-XR1」、極めつけの Blu-ray レコーダ第一弾「BDZ-S77」と、対応するメディアもブランドもコンセプトも全てバラバラ。数多くのラインナップを擁しながらも、統一ブランドで展開することによってデジタルレコーダのブランドイメージを早く浸透させようとしている、ライバル東芝松下とはスタンスが異なっています。
と、いうよりは、ソニー自身が「ソニーのデジタルレコーダ」というものの定義がまだしきれていないのではないかな?という気がします。上記の松下や東芝が従来の VHS ビデオデッキの延長線上のアプローチで分かりやすいところからユーザーにアピールしてきたのに対し、あえて「ソニーらしさ」を出すべくネットワーク対応を強調してみたり、HDD オンリーによる視聴スタイルを提案してみたり、発起メーカーとして DVD+RW 対応製品を出したり、Blu-ray のエバンジェリストになってみたり、とりあえず±RW までのつなぎとしてほとんど OEM な -RW レコーダを出してみたり、(-RW レコーダはともかく)それぞれをとってみると確かに面白いラインナップではあるのですが、全体としての製品の方向感のなさがこのような「単発でいろいろ出してはいるけど、なんだかちぐはぐ」という現在のイメージに繋がっているのではないでしょうか。ま、私もチャンネルサーバーの使い勝手を知らなければ、今頃「ソニーのデジタルレコーダは選択肢が幅広くて良いなあ」と思っていたかもしれませんが(^^;これは、CSV-E77 は禁断の果実だったかな・・・。
私がソニーのデジタルレコーダにがっかりしているのは、ひとえに NDR-XR1 の仕様が思っていたものに一声足りなかった(ま、「おまかせ・まる録」は CoCoon のアイデンティティではなくてあくまでチャンネルサーバーのアイデンティティなんだ、とコンセプトの違いを語られてしまったらそれまでなのですが、顧客として重要なのは「メーカーのコンセプトがどうか」ではなくて「自分にとって魅力的な機能があるかどうか」なわけで)ことに端を発しているわけなのですが(笑)、やっぱり「デジタルレコーダの決定版」みたいな製品に出会うには、あと一度くらい冬を越さなくてはならないのでしょうか。各種デジタル放送や CS 放送など、多彩な映像ソースを自在に操れるようになったときが買い時なのかな?と思います。今買うとしたら、あまり色気を出さずに安い方のチャンネルサーバー(S57)+RDR-A21 あたりを買ってよしなに、というのが最もお手軽で良いのかもしれません。

また、今の時期はソニー製 DVD プレイヤーの廉価モデルが何製品か登場するのが最近のサイクルになっていますが、eCatalog サイトに新しい DVD プレイヤー「DVP-NS530」が密かに追加されています。
http://www.ecat.sony.co.jp/visual/dvd/acc/index.cfm?PD=13662&KM=DVP-NS530
昨春発表になった低価格 DVD プレイヤー「DVP-NS515」の後継機種。従来機種よりも大幅に薄型化されていて、テレビボードのスキマに押し込んでおけそうなコンパクトさが魅力です。プログレッシブ出力に対応しない廉価モデルで、実売価格は \15,000 前後といったところでしょうか。掲示板等でときどき「ノート PC で再生した DVD-Video をテレビに出力したいけど、どうしたらいいでしょう」みたいな質問を受けることがありますが、ヘタにディスプレイアダプタダウンスキャンコンバータを買うくらいならこのへんのプレイヤーを買った方が全然安上がりなんですよね。無理して PC で DVD 観るのがあほらしくなっちゃいます。DVD プレイヤーも安くなったものですね。
ちなみに、プログレッシブ出力対応で人気の高かった「DVP-NS715P」の後継となる「DVP-NS730P」というのも近々出るようです。RDR-GX7 の FAQ にそれとなーく型番が・・・(笑)。こちらも薄型になるのでしょうか?低価格モデル(予想 \25,000〜30,000)と言いつつも画質は中堅モデル「DVP-NS915V」譲りで SACD に非対応なだけ、という程度のオイシイスペックになりそうですから、こちらも期待できそうです。


[ 505i ] 2003/04/08(Tue)
NTT DoCoMo が PDC 携帯電話の新シリーズ「505i」シリーズの開発を正式発表しました。
ニュースリリース
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/03/whatnew0408a.html
主な仕様: D505i, F505i
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/03/whatnew0408a-1.html
主な仕様: N505i, P505i
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/03/whatnew0408a-2.html
主な仕様: SH505i, SO505i
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/03/whatnew0408a-3.html
QuickReport「みんなのワクワクケータイ。505i」
http://505i.nttdocomo.co.jp/
驚いたのは登場する端末 6 機種(D、F、N、P、SH、SO)が同時に発表されたことです。夏までに順次発売と言われていたので、てっきり段階的に発表してくるものと思い込んでいましたが、発売日を明らかにしないまま登場する端末だけ先に知らせてしまうあたり、シェアを伸ばす競合キャリアをかなり強く意識してのことなのでしょうか。
505i シリーズ共通の特徴としては、カメラ機能の搭載とそれに伴う外部メモリへの対応、Macromedia Flash の搭載、機能を拡張しスクラッチパッド容量を倍の 200KB にまで増やした「i アプリ DX」の搭載、i モードコンテンツの容量拡大(20KB まで)、i モードメールの選択受信への対応、赤外線リモコン機能の搭載などが挙げられます。
端末はそれぞれ個性的で、比較的スタンダードな筐体に高画質を狙ったスーパー CCD ハニカム搭載の D505i、指紋認証と背面有機 EL 液晶がウリの F505i、31 万画素 CMOS とカメラ機能はやや弱いものの 2.4 インチの大画面と伝統的なスタイルで根強い人気を誇るであろう N505i、薄さを強調したデザインとデュアルカメラの P505i、屋外に強く 3D 表示にも対応した CG シリコン液晶や J-PHONE での実績を引っ提げて 50x シリーズに殴り込みをかける SH505i、そして 130 万画素クラスの CCD を採用し、カメラ機能に関しては最強といえる SO505i、というラインナップになっています。

個人的には使い途の見えない i アプリ DX とかパケ料がかさむだけの Flash なんてどーでもいいと思っているのですが(笑)、とりあえず SO502i が出たあたりから待ちに待っていた「ソニーの 505」が出るというだけで買っておかなければならないというかもはやこれは古くからの VAIO 505 ユーザーとしてのギムですギム(ぉ サイズがデカいとか、重いとか、そういうのは気にしません(いや、ホントはけっこう気にしてるけど)。
SO504i の 96×49×29mm・120g 、Cyber-shot U の 84.5×39.8×28.6mm・118g と比較すると SO505i の 105×49×30mm・145g ってマジデスカと突っ込みたくなるくらいデカくて重い(ま、SO504i の大きさをガマンできたので許容範囲かな、という気もしますが)のですが、DSC-U10 とほぼ同等のカメラを携帯電話として常に持っていられるというのは、撮影のチャンスを大きく広げてくれるわけで。Cyber-shot U になって随分カメラを活用する機会は増えたとはいっても、普通に仕事している平日にまでカメラを懐に忍ばせておくということは滅多になかったので、いつも身につけている携帯に U10 並みの機能(しかも液晶は U より断然イイ)がつくというのはなかなか魅力的に感じることだったりします。逆に、Cyber-shot U ユーザーとしては U10 並みの撮影性能でなければ仮にケータイについていてもあまり撮ろうとは思えないでしょうから、それを考えるとこのサイズは致し方ないところでしょうか(でもやっぱりデカいけど)。
他機種が全て背面液晶を備える中、SO505i だけは唯一背面液晶無しという構成になっていますが、これは既報のとおり回転スライド式液晶を搭載していて、撮影時は閉じて横倒し状態にし、側面についているシャッターボタンを押す、というカメラ的な撮影スタイルを提案しているからでしょう。いわゆる「カメラ付きケータイ」的な撮影スタイルはあまり重視していないどころか、カメラ機能は回転スライドを閉じた状態でしか動作しないようになっているようです(逆に、Cyber-shot F シリーズや VAIO C1 のようなカメラのスタイルを早くから提案してきているソニーだからこそ、DoCoMo でも A1301S のようなフレキシブルなカメラを採用した製品を提案してほしかったとも思いますが)。

少々気になるのは、505i シリーズにおける外部記憶メディアの動向です。メモリースティックの旗手ソニーは当然として、早くからメモステ Duo を採用していた三菱製端末でこそメモリースティック Duo が採用されていますが、その他の端末は全て競合規格である miniSD を採用してきました。miniSD といえば先月発表されたばかりの SD カードの下位互換規格であり、携帯機器への採用を重視した極小クラスのフラッシュメモリデバイス。最近のメモリースティック・SD カードの動向から予測すると、このままの勢いで SD カード陣営の寄り切りが決まってしまいそうな勢いにすら感じますが、どうなんでしょうか>メモステ。この時点で Duo は明らかにサイズ的に不利になっているので、次世代端末向けには更に小型化したメモリースティック DuoDuo とか出してきたりして(笑)。

他製品に関しては、505i シリーズでは全機種メガピクセルかとも言われていた割には比較的おとなしめのカメラスペックに落ち着いています。ほぼカメラに全力投球してしまったソニーエリクソンはともかく(笑)携帯電話としてのサイズを考えたり、他の機能(指紋認証や次世代液晶の搭載など)を考慮するとカメラばかりを重視するわけにもいかなかったのでしょう。P505i のようなデュアルカメラだと、コストを考えると 30 万画素クラスが精一杯でしょうし、504iS シリーズからのスパンの短さからいって N や P はあまり思い切った端末を開発する余裕がなかったということも言えそうです。

何はともあれ SO505i、私は買い決定です。やっぱり「コズミックブルー」っぽいブルーが本命かな?シブめのシルバーも捨てがたいですけど。あとは現物の雰囲気次第ですね。
何やら SO505i の発売は GW 直前という噂も流れていますが、いつ出てくるんでしょうね。早く使ってみたいです。

■記事リンク
ZDNet の記事
http://www.zdnet.co.jp/mobile/0304/08/n_505i.html
http://www.zdnet.co.jp/news/0304/08/njbt_04.html
http://www.zdnet.co.jp/mobile/0304/08/n_so.html
http://www.zdnet.co.jp/mobile/0304/08/n_sa505.html
http://www.zdnet.co.jp/mobile/0304/08/n_505sp.html
ケータイ Watch の記事
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/13537.html
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/13527.html
MYCOM PC WEB の記事
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/04/08/09.html
ASCII24 の記事
http://k-tai.ascii24.com/k-tai/news/2003/04/08/642929-000.html
http://k-tai.ascii24.com/k-tai/news/2003/04/08/642933-000.html


[ 空をこえて ] 2003/04/07(Mon)
本日は、2003 年 4 月 7 日。今日が何の日かご存知ですか?
しばらく前からあちこちで取り上げられているのでご存知の方も多いでしょうが、そう、今日は鉄腕アトムの誕生日なのです。作中で、アトムが生まれたのが 2003.4.7。この誕生日を記念して、フジテレビがリメイク版『アストロボーイ・鉄腕アトム』を放映するほか、ソニーが記念のアトム電池を発売したり、「アトム生誕の地」科学省があったとされる高田馬場の JR 線ホームの発車ベル音が『鉄腕アトム』の主題歌になったり、と記念ムード一色になっています。
私はアトム世代ではないのですが、自律二足歩行ロボットを代表とするロボット産業が花形産業として注目を浴びていたり、これだけ「アトム」熱が盛り上がってくると、オトコノコ的には注目せざるを得ないわけです。

そんな中「アトムが生まれた年の、人類のパートナーロボット博覧会。」と銘打って、先週末に開催された「ROBODEX 2003」。
ちょうど昨日、小用で横浜に出向く用事があったので、帰りにパシフィコ横浜を覗いてきました。

ROBODEX 2003

やっぱり、元・工学生の端くれとしては見ておかなくてはなりません。WPC EXPO とか SDWE と違って知らないことの方が多いイベントですが、その分純粋にワクワクできたりします(笑)。

HRP-2富山が誇る(?)ロボット企業、川田工業の「HRP-2 "Promet"」。いわゆる「パトレイバー」デザインの自律二足歩行ロボットです。
エンタテインメント色の強い最近のロボット産業の中、話題を呼ぶデザインに反してその実はしっかりとした実務系ロボットだったりします。ま、「イングラム」も警視庁の業務機(パトカーみたいなものか)という設定でしたから、ある意味このデザインは的を射ているということもできます。川田工業自体、元々が土木建築業や重工業系の企業なので、危険の伴う作業のサポートを行う目的で開発されたものですからね。
準備体操二足歩行だけでなく、上半身の動作もなかなかフレキシブル。屈伸運動なんかもこなせちゃいます。ロボットに準備体操が必要かどうかは別として、意外に愛嬌のある動作です(^^;
後述の他社製品に比べると実務的イメージのある HRP-2 ですが、こんなデモを行ったりペーパークラフトを配布したり、キャラクターとしてのイメージアップにも余念がないようでした。

なかなか興味をそそったのが、実作業ベースのデモ。

HRP-2 による形状認識 人間との共同作業

人間と一緒に資材の搬送作業を行うデモです。写真だけで見ると何ということもないように見えますが、頭部カメラを使った形状認識を行ったり、それを元に立ち位置の微調整を行ったり、作業中の微妙な姿勢制御を行ったり、人間なら無意識に行えることですが、ロボットに行わせようとすると様々な制御が必要になってなかなか大変なことがちゃんとできているんですね。まだまだ動作は遅いのですが、作業スピードよりも安全性や確実性が重視される方面では、現段階くらいでも実用化するメリットはあるのかもしれません。

TITech Roller-Walker大学の研究室も元気でした。この分野は企業ベースよりも研究室ベースの方が進んでいるカテゴリもあるでしょうし、企業だけ・大学だけというのではなく企業と大学が共同して進めている研究も少なくないでしょう。製品化を前提としていない時点でプロダクト・デザインとしては企業ベースのものにどうしても見劣りしてしまいますが、古くからのロボコンファンとしてはこういう無骨なロボットも好きだったりします。
他にも、「いかにも」なデザインのパワードスーツなど大学ごとに個性的な研究成果がズラリ。がんばってほしいですね。
morph3気鋭のロボット開発ベンチャー、ZMP ブース。
写真は RoboCup2002 などで有名になった北野共生システムプロジェクトの「morph3」。
デザインやサイズからしてラジコンやプラモデルのように「オトコノコ心」をくすぐる一品です。
PINO ver.2同じく ZMP ブースの「PINO」。これは見たことがある人も少なくないでしょうが、ver.2 になって中身はほぼ別物になっているようです。
しかしプレゼンテーションとしては、中身はともかく、という感じでとにかくキャラクター性をアピールしているようでした。プレゼンターにもコスプレちっくな女の子を立てて「そっち方面」の人々にアピールしていたようですし(^^;
DORAEMON the ROBOT子供達に大人気だったバンダイブース。
エンタテインメントロボット「ドラえもん」プロジェクトで開発中の製品を展示していました。しかし、四次元ポケットはおろかペタンハンドすら実装しておらず、まだまだ発展途上の製品という印象を受けました(ぉ
この「ドラえもん」で注目されているのは Evolution Robotics からライセンスを受けた「ERSP(Evolution Robotics Software Platform)」。PC をベースとしたロボット用ミドルウェアで、ローコストなロボット用プラットフォーム構築をセールスポイントとしています。注目すべき技術のひとつですね。
アトム誕生!今回のキーキャラクター・アトムの誕生前夜ということで、三菱重工ブースではこんな展示も。
本当のメインはおそらく三菱重工の作業用ロボット(写真のアームです)なのでしょうが、やはり注目はアトム。腕が上がるくらいしか動きませんが、起き上がると思って注目して「なんだ、動かないんじゃん」と呟いて去っていく人山の如し(笑)いくらなんでもあの造型じゃ動かないでしょう(^^;
でも、なんだか観ているだけで嬉しくなってしまうディスプレイではありました。

で、やっぱり最大の規模かつ最大の注目を浴びていたのがホンダブースとソニーブース。
技術力という意味では他社もひけを取っていないとは思いますが、注目度やエンタテインメント性、製品化力、そして何より「魅せ方」という点ではやはりこの二社が業界を牽引しているな、というのを再認識させられました。
ちなみに、ASIMO も SDR も実際の動作デモを見るのは今回が始めてだったりします。ちょっと感動。

ASIMO 階段を上る ASIMO

ホンダブースの「ASIMO」は既にレンタル事業が開始されているだけあって、もうパフォーマンスはお手のもの、といった感じでした。当たり前のように手を振ったり、ジェスチャーしたり、もはや階段を上るくらいではびっくりもされないくらいに ASIMO の運動性は認知されているんですね。

HONDA P3 with ASIMO今回は ASIMO の兄貴分にあたる先代の試作機「P3」もちょっとだけ登場しました。ASIMO より一回り大きく、雰囲気もメカっぽい感じで、ASIMO と比べると違いが分かって面白いです。ASIMO と違って無骨ですし、手指もあまり分かれていないのですが、それでも必死で愛嬌を振りまいています(笑)。
歩調は軽やかな ASIMO と比べてちょっと力強い感じ。

ASIMO の公式サイトでは今回に限らずイベントレポートが頻繁に更新されていて、なかなか面白い内容になっているので一度ご覧になってみては。
http://www.honda.co.jp/ASIMO/event/report_14.html

SDR-4X IIソニーブースでは注目の「SDR-4X II」が。一見「SDR-4X」から変わっていないように見えますが、下半身が少しがっしりしていたり、細かな造形のモディファイの跡が見られます。
座っているのは今回開発された充電用ステーション(クレイドル)です。
SDR 大地に立つ!二足歩行する SDR。もう二足歩行くらい見飽きたよ、と思うかもしれませんが、ただ歩くだけではなくて地形や地面に置かれた印(ランドマーク)を認識して目標まで独力で歩いていくことができます。しかも、経路に突然障害物が現れてもちゃんとそれを認識して迂回経路を取ることができる!これはすごい。
しかし、このデモの最中はずーっと地面に視線を落としてしょんぼり歩いている感じになるので、カメラマン泣かせの能力でもあります(笑)。
こいつ・・・動くぞ・・・!万一の転倒時には自力で起きあがることができます。これも SDR-4X のときに既にできていましたが、今回は更に転倒防止運動(倒れそうになったら足をその方向に出してバランスを取る)や受け身を取ることができるようになっています。他にも、関節部への指の挟み込み防止機能を備えるなど、あらゆる運動制御のために前身にセンサー満載といった感じです。
『奇跡の旅』SDR シリーズのお約束となった、歌とダンスのパフォーマンス。今回は坂本龍一教授の作曲による『奇跡の旅』を披露してくれました。
なんというか、ずっと見ていても飽きないというか、むしろ擬人的な感情すら抱いてしまう気がするので不思議です。
リボン体操SDR-4X II の目玉(?)リボン体操。リボンを回しながら片足を上げるくらいのことはできてしまいます。
こういうのを見ると「やっぱりソニーは魅せ方を心得ているなあ」と思ってしまいますね。

この他にも、SDR とプレゼンターのお姉さんとの会話があったり、メディアージュで人気となった AIBO ミュージカルなど、見所満載という感じでした。ソニーも公式サイトで ROBODEX の様子をレポートしているので、ぜひご覧ください。
http://www.jp.aibo.com/clubaibo/special/rd03_3.html

ホンダブース、ソニーブースに共通で抱いた感想としては、この二社の二足歩行ロボットはもう見た目の華やかさといった部分よりもより実用化に向けた運動制御だとかヒトとのコミュニケーションといった分野に研究の重心が移っているんだなあ・・・ということです(見た目が変わらないだけで、運動能力も地道に進化していっているんですけどね)。ヒトが生活する場で動き回るということはどういうことなのか。個々のヒトを認識して、それぞれとコミュニケーションらしいコミュニケーションができるということはどういうことなのか。そういうことを本気で考えているように思えました。これらのロボットは「ヒトとの共生」を考えるステージに入ってきているんですね。
他のメーカーも、単に「こういうことができる」というアピールに終始するだけではなくて、実際の製品として、企業なり一般家庭なりに入っていくことを見据えた方向で進化していっていることは間違いないと思います。こうしてみると、価格の問題は抜きにして、ヒトとロボットがひとつの社会で共に生きる時代、というのはそう遠くない未来のことなのかな、という気持ちになってきます。おそらく、それぞれのロボットが「バックグラウンドにある技術を感じるためのもの」から「それぞれに個性を持ったキャラクター」というイメージに遷移しつつあることも、単なる技術的なプレゼンテーションではなく、より我々の生活に近い立場として「ロボット」を考えるようになった結果なのではないか、と感じました。

「ヒト」と「ロボット」の共生・・・そのことを考えるときには、今年という年は単に「アトムが生まれた年」というだけではありません。今年は日本初のテレビアニメとして放映されたオリジナル『鉄腕アトム』アニメーションの放映開始(1963.1)から 40 年、ヒトの DNA の二重らせん構造の発見から 50 年、そしてヒトゲノムの解読完了宣言が出されるなど、「ヒト」の存在そのものや、その「ヒト」と共生していく「ロボット」にとって、ひとつのマイルストーンともいえる年なのです。
さらにはクローン技術が発達して、クローン人間の創造までかなり近いレベルに達して(ホントかどうかはマユツバというかどうもデマらしいのですが、既にクローン人間の創造に成功したという宗教団体もあるとか)きていたり、臓器移植の成功率が高まってきたり、「尊厳死」という言葉が次第に一般的になってきたり、という昨今です。こんな時代だからこそ、生命倫理(vaioethics、ではなく、bioethics(笑))の理解が重要、ということは、最近声高に叫ばれていることでもありますよね。
私が SDR-4X II や ASIMO を見たときに抱いた感情は、単なる「工業製品」としての「ロボット」をイメージするときに抱く感情とはやや質の異なるものでした。家族の一員としてのペットにも似た、何かそういう類の感情ですね。おそらく、そういう感情を抱かせているものの実体は「プログラム」であり、生体のもつメンタリティとは別物なのですが。否、我々の感情も高度にシステム化された DNA の「プログラム」なのだ、と考えると、本質的には違わないものなのかもしれません。
スピルバーグの『A.I.』という映画を観たことはありますか?私は、あの映画は中盤以降 B 級の SF 映画になってしまうので途中からの展開は好きではないのですが、前半の深みのある展開はすごく印象に残っているんですよね。可能ならば健在のうちにキューブリックに作ってほしかった・・・と思っている、というのは全くの余談なので置いておきますが、ASIMO や SDR をみていると、この映画のような物語はいつか現実のものになってしまうのではないか、とそういう思いに駆られてしまいます。人間の「脳」のシステムの解明には天動説時代における地動説の発見のような斬新な論理の転回が不可欠でしょうから、そう簡単にロボットが人間と同等のメンタリティを持つことはないでしょうが、少なくともエンドユーザーが簡単に(形状の上での)ヒト型ロボットを買えるようになってしまうのは時間の問題ではないか、と思うわけです。動物でさえも簡単に捨ててしまえるヒトが、ロボットを手にしたら。ましてや、少し前の PC のようにロボットベンダが次々と旧タイプのロボットを陳腐化させ、買い換えを要求していったら。飽きられてしまった AIBO がソフマップの店頭に並べられている現在は、まだまだまともな状況であるようにすら思えます。

また、(かなり荒唐無稽ですが)こんなことも考えます。
昨年あたりからコンピュータ業界のキーワードのひとつとなっている「オートノミック(自律型)コンピューティング」(環境の変化への適応、障害の発見〜修復までのプロセスあるいは障害防止、リソースや負荷の最適化、外部からの攻撃の防御などを自動的に判断・制御できるコンピュータの形態)は、生体の仕組みに似た、有機的なシステムだと思います。そして、もうひとつのキーワード「グリッド・コンピューティング」によって実現される「コンピュータのネットワークによって作られる、ひとつの巨大な仮想コンピュータ」という概念は、個々のコンピュータをそれぞれニューロンに見立てれば、動物の「脳」のシステムに酷似しているとは言えないでしょうか?
現在は、それらのニューロンがただシステム的に接続されているに過ぎませんが、例えば世界のどこかにいるかもしれない天才的なプログラマが「意志」を持ったプログラムを発明したとか、自律型の制御構造を持ったグリッドが何らかの形で突然変異的に意志を持った(あるいは、自律制御が行き過ぎて意志を持った「ように見える」ようになった)とかいうことが起きたとすると、コンピュータが意志を持って人間世界を支配しようとし始める、という SF 小説や映画のような展開を妄想してしまいますが、こんな私はおそらく SF 映画の観過ぎであり、茂木健一郎氏の論説の影響を受け過ぎなのであります(笑)。
とはいえ、異常なほどに発達した、あるいは本当に意志を持ったコンピュータ/ロボットが人間に脅威をもたらしたり、人間と争うようになる、という話は、映画だけでも「ウォー・ゲーム」「ブレードランナー」「マトリックス」、「A.I.」等、枚挙にいとまがありません。これは、単に空想の世界の話ではなく、コンピュータシステムの発達そのものが潜在的な危険性を孕んでいることを、人類が無意識に自覚していることの証拠かもしれないではないですか?
私は無宗教なので、単なる倫理的な問題以外にクローン技術やロボット技術を「ヒトを神たらしめる行為」だとか「神への冒涜」だとか思うことはありませんが、少なくとも「自分の姿に似せたもの」の創造に近づくにあたっては、もっと「人間である」ということや、生命ということについて、しっかり考えてみなくてはならないのではないかな、と思います。そうしないと、何か大切なものを失ったまま、器だけの「ヒトガタ」を作ってしまうことになりかねませんから。
アトムに憧れてロボット産業を目指した人たちに、忘れないでいてほしいのは、「アトムは、平和と人間を何よりも愛する『科学の子』だった」ということです。

「鉄腕アトム」の誕生日に、そんなことを想った私でありました。


■記事リンク
ZDNet の記事
http://www.zdnet.co.jp/news/0304/03/fj00_robodex2003.html
PC Watch の記事
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0402/robodex.htm
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0403/robodex.htm
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0405/kyokai05.htm
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0405/kyokai06.htm
MYCOM PC WEB の記事
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/04/04/17.html
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/04/04/25.html
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/04/04/26.html
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/04/04/27.html
ASCII24 の記事
http://ascii24.com/news/i/topi/article/2003/04/04/642889-000.html


[ アゲハ蝶 ] 2003/04/05(Sat)
新しい CoCoon を見に、お台場に行ってきました。
http://www.jp.sonystyle.com/Cocoon/Event/meet01.html
まだ書きかけですが、とりあえず新 CoCoon のインプレを書いてみました。
→「新 CoCoon『NDR-XR1』『NAV-E900』インプレッション

今日はもう疲れて眠いので、エッセンスだけ。
私は当初、「CoCoon」のキモってソニーが最近注力している「感情の理解」というところだと思っていたんですよね。Linux 家電であることや、ネットワークを駆使すること、成長する家電であること、という表向きのキーワードはありますが、最近のソニーが企業全体として進もうとしている「エモーション」の方向性を考えると、個人の趣味趣向を理解し個人の満足度をどんどん高めていく・・・そんな意味合いが込められているんだろうな、と勝手に理解していたわけです。しかし、今回の新 CoCoon を見ると、とにかく「ネットワークに繋がる Linux 家電であること」という表向きの理由がそのまま CoCoon のイメージっぽくなっているな、と思いました。
そりゃあもちろん、将来的にはそういう方向性に進んでいくでしょうが、かといって現状の「チャンネルサーバー」が持つ性格をそのまま「CoCoon」の性格というふうに理解してしまうのはソニーの望むところではないのだろうな、という気がします。
今回新しい CoCoon を見て感じたのは、ソニーの AV 関連部署が従来の AV の枠を越えて新しい「つながる」製品を作ろうとしたときに、とりあえず「Linux」と「ネットワーク」という二つの基板技術を与えられ、それぞれが思い思いに作った製品を後付けで上層部が「じゃ、これ CoCoon で」という(笑)乱暴に言ってしまえばそういう雰囲気で出てきた製品なんじゃないかと思います。だから、同じような製品なのに片方はソフトウェアの使用にお金がかかって、その一方では最新版ソフトウェアの提供が無償で受けられたり、基本的には同じイメージの UI なんだけど実際の使い勝手は機器によって全然違う、みたいな不整合が生まれてしまっているわけです。作る側がそういう感じだから、ユーザーはよけいに「じゃ、CoCoon って何なのよ?」となってしまう。確かに、AV 製品は PC と違ってジャンルもプラットフォームも幅広いですから、「これが VAIO です!」みたいに強い定義付けは当初からは難しいのでしょうが、それにしても方向性がバラバラで、CoCoon の意味するものがブレてしまいそうな状態だな、と思った次第です。
メーカー的には、それに加えて著作権とか、コンテンツプロバイダーとしての側面(主に SME、SPE ですが)を持っていることも加味するといろんなしがらみやジレンマとの戦いがあるのでしょう。それぞれの製品ごとに開発側が持ち出してきたコンセプトがあるのでしょう。でも、客として見るとそういうコンセプトとか社内的な話はある意味どうでもよくて、とにかく「便利なのが欲しい」それだけなんですよね。

最近、ソニスタのがんばりもあるのでしょうが、VAIO 以外にも開発側との直接の声のやりとりができる場が増えてきました(今回のイベントも、各製品の企画担当の方が出ていらっしゃってます)。今回の CoCoon のようなケースでは特にまだまだユーザーからのフィードバックを求めている側面もあるのでしょうが、少なくとも開発側からは「もっといいものを作りたい!」という意志だけは強く伝わってきました(私も「もっといいものが欲しい!」という意志だけは強く伝えてきましたが(笑))。その意欲を、製品作りに繋げていっていただきたいですね。
個人的には、まだそれぞれのチームがバラバラに作っているようですが、もっといろいろ連携してそれぞれの製品に良いところは取り入れていく、みたいな仕組みが強まってくれると良いんですけど。


[ TA-DA9000ES ] 2003/04/04(Fri)
最近、あまりの忙しさに(加えて Cineza まで購入した時点でひとしきり満足してしまったというのもある)めっきりホームシアターで DVD を観る機会がなくなっていたどころかアンプの電源すら入れない日々が続いていたのですが、昨日の CoCoon の発表に触発されて(?)SCD-XB7 を購入(←全然 CoCoon とは関係ないのがミソ)、久々にオーディオ周りの配線をいじっていたら何だか楽しくなってきちゃいました。何で SACD プレイヤーを買ったかって?だって画の出る機材(DVD)で音だけのメディアを回すのってなんか気持ち悪いでしょ(^^;

で、久しぶりにオーディオ・ビジュアルな情報を探していたのですが、なんか海外の方では今夏以降に登場するソニーのホームシアター製品に関する情報がもうちらほら出始めているんですね。
http://www.lydogbilde.no/render.asp?article=1136&chp=Forsiden&gr=101.L_B_Avi
http://www.audiophile.no/pressemeldinger/s-master.html
http://www.massto.nl/home.html
http://www.audioworld.com/stat/pr/0303/10.sony.home.theater.in.a.box.shtml
http://www.audioworld.com/stat/pr/0303/11.sony.l500.series.components.shtml
http://www.audioworld.com/stat/pr/0303/12.sony.9000.series.es.components.shtml
中には、現行のホームシアターシステム「DAV-S880」の後継となりそうな「DAV-S888」(欧州で 5 月発売予定)とか、以前ソニスタ限定で発売された「LISSA」を彷彿とさせるヨーロピアンスタイルの AV システム「L500」シリーズ(HDD オーディオ「HAR-LH500」、DVD プレイヤー「DVP-LS500」、AV アンプ「STR-LV500」)があったりとかしますが、「CoCoon」ホームシアターシステムとの兼ね合いを考えるとこのあたりが日本で発売されるかどうかは微妙なところでしょう。
このほか、ミドルレンジ以上のラインナップがかなり豊富になっていて、AV アンプだけでも「TA-DA9000ES」「STR-DA5000ES」「STR-DA3000ES」「STR-DB2000」の 4 製品。これに加えて、SACD プレイヤーのハイエンド「SCD-XA9000ES」とサブウーファ「SA-WX900」が、それぞれ 8〜10 月の間にリリースされる見込み、と書かれています。

これらの製品の中で最も注目すべきなのは、「SCD-XA9000ES」と新 AV アンプの組み合わせで i.LINK 接続による SACD マルチチャンネルのデジタル出力をサポートする、というところでしょう。
今までは、DVD のデジタル音声(ドルビーデジタルや dts)はデジタル出力をサポートしていましたが、さらに高品位なオーディオデータとなる SACD マルチチャンネルや DVD オーディオのデータをデジタルでやりとりする方式は、著作権保護などを理由に存在していませんでした(プレイヤー内でデコードした音声を 5.1ch 分プリアウトで出して、AV アンプをパワーアンプとして使っていた)。一部、DENON では「DENON LINK」という独自の方式(ケーブル自体は Ethernet などで使われる RJ-45 ケーブルと同じ)を採用していましたが、互換性のない独自フォーマットということで広がりを見せませんでした(というよりもむしろ標準化前の実験的な仕様だった、と見るべきなのでしょうが)。
それが、昨年後半にようやく著作権保護の仕組みや物理的な接続フォーマット(i.LINK)が決まり、今年後半のミドルクラス以上の製品はこのマルチチャンネルフォーマットのデジタル出力サポートがトレンドとなる、といえるでしょう。製品としてはパイオニアの「VSA-AX10i-N」が世界初の i.LINK によるデジタル接続対応アンプとして昨年末に発売済みですが、これ以外には特に i.LINK をサポートした製品というのはまだ発売されておらず、本格普及はこの夏から、ということのようです。私の旧い友人に某メーカーで AV アンプを担当している人がいるのですが、聞いた話によるとやはり今夏(?)発売のニューモデルには i.LINK が載りそうな雰囲気。やはり、今年後半発売の AV アンプは i.LINK サポートがほぼ必須というノリなのでしょうね。
ただ、SACD マルチチャンネルにしても DVD オーディオにしても、なかなか普及という段階に入れていないのが現状で、デジタル接続がサポートされたところで「一部マニアのもの」であることに変わりはないのですが・・・。最近密かに(SACD とは大々的に謳わずに)発売されているハイブリッド SACD(二層式になっており、通常の CD-DA の層の他に SACD の層を持っている)タイトルが増えてソニーのホームシアターシステムのように低価格な SACD 再生環境が普及すれば日の目を見なくはないと思いますが、そのソニー自身が CoCoon で SACD をサポートしていない(まあ、中身は Linux PC なので、SACD をサポート可能な PC 用ドライブがない現状を考えると致し方ないところではあるのですが)など、前途は多難なわけで。でも、レーベルゲート CD とか出しているヒマがあったら、CD 部は CCCD でも良いので SACD とのハイブリッドにしてください、と思いますね。

話が横道に逸れたので元に戻しますが、今秋発売の AV アンプのウリはこの i.LINK のサポートの他にデジタルアンプの搭載があります。ソニーの一部 AV センター向けデジタルアンプ「s-master」は従来、コンパクトでスタイリッシュな薄型アンプやオールインワンパッケージ向け、ハイエンドはアナログアンプ、というイメージが強くありましたが、今度は「s-master PRO」としてハイエンド製品にも全面的に採用されることになる模様です。現行の「STR-VZ555ES」が実質最後のアナログアンプ、ということになりそうですね。デジタルアンプといえば音質はクリアなものの、どちらかというと質感というか豊かさに欠ける、みたいなイメージを持たれていますが、そこのところどうなんでしょうか。ま、全面的に採用というからにはある程度以上の水準はクリアしているということなのでしょうが。
これらアンプの中で、ハイエンドの「TA-DA9000ES」は現行の AV プリアンプ「TA-E9000ES」+AV パワーアンプ「TA-N9000ES」の組み合わせを置き換えるものになりそうです。この組み合わせは定評が高く、最初の発売からかれこれ 4 年半が経過しているのですが、バージョンアップサービス等で最新のフォーマットに対応しつつ、現在でも愛用するヘビーユーザーは多いと聞いています。価格的にはおそらく \30 万コース、サイズ的にもヤマハのフラッグシップ「DSP-AZ1」あるいはその後継と真正面からぶつかる機種になるのではないでしょうか。従来セパレートだったものを一体型にすることには、賛否両論ありそうですが・・・。
TA-DA9000ES の次に位置する「STR-DA5000ES」は現行の VZ555ES の後継という位置付けでしょうか。VZ555ES もこの価格帯ではかなり評価の高いモデルなので、DA5000ES もおそらく日本でも発売されるでしょう。でも、微妙なのがその下のミドルクラスとなる「STR-DA3000ES」と「STR-DB2000」。日本では VA555ES(VZ555ES の前身)の下位モデルである VA333ES が発売されず、欧米のみのリリースとなっていたことや、最近のソニーの「ハイエンドは ES が 1〜2 機種、あとは手軽なパッケージ製品とゼネラルオーディオばかり」になってしまった AV 機器ラインアップを見ていると、DA3000ES と DB2000 は日本では出ないのではないか、という気がしてしまいます。DB1070 ユーザーとしては、同じ系譜の DB2000 が出てくれると嬉しいのですが(といっても毎年 AV アンプを買い換えるわけにはいかないのですが)、可能性としては半々かなぁ・・・と悲観的に見ています。
とりあえず、私は特に SACD のデジタル出力を今のところ必要としていないですし、最新フォーマットに完全対応とはいかないまでも必要十分な数の音声フォーマットに対応し、住宅事情を考慮すると十分な出力を持つ DB1070(というかこれ以上出力が大きくなっても持て余してしまいそう)をまだまだ使い込んでいきたいので、今秋はアンプを買い換える予定はないのですが、今年もまだまだホームシアターは楽しんでいきたいので、このあたりの動向にも目を光らせていきたいと思います。

・・・でも本当は新しい CoCoon の仕様がもう少しいけてたらなあ。


[ BUTTERFLY ] 2003/04/03(Thr)
体調の方は通常通りに戻ってきて、そろそろ Brown Sugar 完全復活、と言っていいくらいになってきました。
でも、しばらくやる気だけが全然戻ってこなくて、仕事をしても何をしても中途半端にぼんやりした状態が続いていたのですが、ちょっとしたことで気合い復活。思ったより単純じゃん>自分

・・・というわけで、ソニーよりニュー「CoCoon」登場です!
ニュースリリース
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200304/03-0403/
本当は、風の噂で「CoCoon の新しいのが 3 月頃に出るらしい」みたいな話をそれとなく耳にしていたのですが、新学期商戦に出てこなかったのでどうしたんだろう、と思っていた次第です。でもソニスタの CoCoon サイトがリニューアルしたりしていたので、そろそろだろうな、とは思っていたのですが。
現れた新製品は、予想通りの HDD/DVD ハイブリッド CoCoon と、予想外の(?)ホームシアター CoCoon でした。

「CoCoon」デジタルレコーダー NDR-XR1
http://www.sony.jp/products/Consumer/cocoon/NDR-XR1/
期待されていたハイブリッド CoCoon。昨年の Sony Dream World 2002 のときにモックアップだけ展示されていましたが、ほぼそのままのデザインで製品化されました。Blu-ray Disc レコーダもそうでしたが、デザインが固まってから発売までのタイムラグを考えるとかなりじっくり練り込んでいたんだなあ・・・と考えさせられます。
仕様としては 80GB HDD に DVD-RW ドライブを搭載した、比較的スタンダードな DVD/HDD ハイブリッドレコーダ。先行する東芝の RD シリーズや松下の DIGA に対抗することができるか・・・といきたいところですが、敵(?)を知るにはまず己から、ということで、落ち着いて NDR-XR1 を見ていきましょう。
HDD 容量は「CoCoon チャンネルサーバー」CSV-E77 の半分となる 80GB ですが、デジタル三次元 Y/C 分離回路や三次元 DNR など、画質としての基本的なラインはクリアしていると言えるでしょう。記録モードは HQ、SP、EP、SLP の 4 モードで、それぞれ VBR(可変ビットレート)記録となっています。また、CSV シリーズにはなかった機能として、i.LINK 端子からの映像の取り込みに対応するほか、BS アナログチューナも内蔵しています。
記録型 DVD の方は DVD-R/RW のみの対応で、DVD+R/RW には非対応。+R/RW が気になる人は追って発売される RDR-GX7 待ち(こちらは HDD 非対応ですが)ということになりますね。基本的にはごくごく標準的な DVD-R/RW レコーダと言いたいところですが、DVD への記録は HDD 上の動画ソースのみであったり、VR モードでの記録ができず(VR モードの再生は可能)記録は Video モードのみであったりと、「DVD-R/RW レコーダ」として見たときにはちょっと「?」がつく仕様であることは間違いないと思います。雰囲気としては、DVD はあくまで「HDD に記録された映像を外部メディアに保管するためのもの」という位置づけのようで、とにかくどんどん HDD に録り溜めていって、必要なものだけ後から編集して DVD に書き出す、という使い方を想定しているんだな、ということがよく分かります。
では、その「HDD ビデオレコーダ」の機能(スペックではなくて機能)としてはどうなのか、というと、HDD 容量が少なめ(といっても競合製品と比べると同程度なわけで、CSV-E77 が大容量すぎたわけなのですが)であることからも分かるとおり、これは「チャンネルサーバー」ではない、ということを強調しているようです。CoCoon 活用サイト「カモン!マイキャスター」の利用はサポートするものの、チャンネルサーバーの最大の特徴であった「おまかせ・まる録 2」や EPG 番組表はサポートせず、ネットワーク経由で取得した番組表を参照し、自分で番組情報などを検索・録画予約する必要があります。携帯電話や PC からネット経由で録画予約ができたり、NDR-XR1 単体での Web ブラウジングをサポートしていたりという機能もあるのですが、「おまかせ・まる録 2」のイージーさを体験してしまった私からすれば「えぇーっ、ついてないの!?」と文句のひとつも言いたくなるわけで(笑)。将来的には分かりませんが、当面は HDD オンリーの「チャンネルサーバー」とハイブリッドの「ネットワークデジタルレコーダー」を明確に分けていこう、という方針なんでしょうね。あと、メモステ PRO 非対応なのですが、メモステ PRO に対応していれば今後ビデオデータをメモステ PRO に書き出して、通勤中に CLIE で鑑賞!みたいなこともできるのにな・・・と思うのですがいかがでしょう。なんか、メモステ PRO って志が高い割には当初は全然アプリケーションが揃わないのね。
ソニー発のハイブリッドレコーダ初号機であることを考えるとこの NDR-XR1 はまずまずの出来であるようにも思えるのですが、東芝や松下がすでにそれなりに完成度の高い製品(彼らの製品はまだネットワーク非対応である、という違いはありますが)を出してきていること、「チャンネルサーバー」の進化分を取り込めていないこと、DVD+R/RW の動向(グローバルではどちらかというと DVD+R/RW の流れになっているので、今後日本市場も DVD+R/RW に少しずつシフトする可能性がある)、そして発売日が来週に迫った Blu-ray Disc レコーダの今後、などを考えると、今買うのはちょっと躊躇われる製品であるかもしれません。個人的には、ハイブリッドレコーダの買い時はおそらく今後 3 つのタイミングがあって、一つは今こうして目の前に東芝・松下・パイオニア・ソニーのハイブリッド機が出揃ってきている現在、次のタイミングは今冬に地上波デジタル放送が開始され、各機器が地上波デジタルチューナ内蔵になったタイミング、そして最後には 1〜2 年後に Blu-ray Disc 対応ハイブリッドレコーダが各社から出揃い、実売 10 万円台前半という価格レンジに入ってきたとき、だと思っています。いつのタイミングに照準を合わせるか、それが問題ですね。個人的には、NDR-XR1 が「おまかせ・まる録 2」対応だったら夏ボが危険に晒されていたと思います(^^;

CoCoon ホームシアターシステム NAV-E900, E600
http://www.sony.jp/products/Consumer/cocoon/NAV-E900/
意外だったのがこのホームシアターシステムです。SDWE2002 でもモックが展示されていましたが、「ホームシアターでネットワーク家電?何やるんだろう」と思っていた私は、今時流行らないフルサイズの単品ホームシアター信奉者ですよどうせ。(^^;
大雑把にこの商品を紹介すると、「ホームシアターシステム+HDD デジタルレコーダ」。現行のホームシアターシステム「DAV-S880」および「S550」に HDD レコーダ機能を追加したような仕様になっています、というかサウンド周りの仕様は S880/S550 そのまんまです。それぞれのセンター(マルチチャンネルアンプ内蔵 DVD プレイヤー)が HDD を搭載した、と考えた方がスマートかな。
HDD に記録できるのは、CoCoon らしく(?)ビデオデータ(地上波アナログチューナを内蔵)に加えて音声(PCM/ATRAC3)に静止画。静止画については CD-R/RW やメモリースティックからの取り込みも可能なのがなかなかいけてます。音声も、ATRAC3 だけでなく非圧縮の PCM 形式で取り込めるので、HDD 容量は食うものの 20 枚程度の CD なら常に・手軽にいい音で聴けるのはありがたいですね(HDD は 80GB 中 60GB が映像記録用、残りがその他のデータとなっています)。
このシステムの最大の特徴は、なんといっても「Open Key Style」という独特の成長システムにあるでしょう。この「Open Key Style」は、本体購入後に実際に使ってみて、気に入った機能のみを購入できるというシステムです。DVD/CD の再生、メールや Web ブラウズなどの基本機能は標準で使用できますが、テレビ録画機能や音楽録音機能などは 30 日間の試用後に継続使用したければ購入(葉書での申し込み、あるいは Sony Style での購入)する必要があります。この価格が、全ての機能を使用可能にする「フル・パック」で \50,000(ソニスタでの購入時)とけっこうバカになりません。しかし、家電ではこのような仕組みは今までなかったものなので、面白い試みではあると思います。
個人的にすごーーーく気になっているのは、この「Open Key Style」の「オーディオパック」。CD を HDD に取り込めるシステム、というだけならこれまでにも「HAR-D1000」がありましたが(これらは PCM 録音には対応していませんでしたが)、単体で MG メモリースティックやネットワークウォークマン、Net MD 対応機器へのチェックアウトにまで対応していたのは「DAN-Z1」くらいのもの。DAN-Z1 は HDD が 6GB しかなかったり機能の割に高価だったりしたのであまり注目はしなかったのですが(あまり普段のオーディオとして使う気になれない「デスクトップオーディオシステム」であったせいもあるのですが)、今回は普段からバリバリ音楽を聴いたり DVD を観たりするホームシアターシステムにこの機能がついているのが非常に大きいです。なかなか PC 以外の AV 製品で Net MD や MagicGate 機器へのチェックアウトをサポートしているものってないですからねー。PC を介さずに、HDD に溜め込んだ音楽をいつも聴くことができ、必要なときには PC をいちいち起ち上げなくても Net MD やメモステにチェックアウトできる。これは求めていたネットワークオーディオの形がようやく実現できてきた、ということがいえるのではないでしょうか?まあ、厳密にいえばこれらの機器は内部的には Linux で動いているので PC の一種ですが・・・。でも、いちいち起動を待たなくてはならない PC で、なおかつ重い SonicStage とオサラバできる、というのは非常に魅力的。機器メーカーとしても無限の組み合わせを持つ PC よりも機器のサポートがやりやすいでしょうし。個人的にホームシアターシステムは手持ちのものと被るので必要ないのですが、このセンター部分だけ売ってください>ソニーさん。というか、「CoCoon チャンネルサーバー+CoCoon デジタルレコーダー+CoCoon ホームシアターシステムのいいとこ取り」みたいな CoCoon が出てくれれば、\200,000 でも買うんですけどどうでしょうか>ソニーさん。

CoCoon 自体はまだまだ発展途上のブランドですし、今回の新製品についても実機をしばらく触ってみないことには感覚がつかめない機能がたくさんある、というのが正直な感想ですが、早く実機に触れて面白さを体験してみたいですね。
しかしこんな日に生産完了した SCD-XB7 の流通在庫を確保して満足していたりする私はやっぱり逆行しているんだろうか。(^^;;;

■記事リンク
AV Watch の記事
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20030403/sony1.htm
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20030403/sony2.htm
ASCII24 の記事
http://ascii24.com/news/i/hard/article/2003/04/03/642856-000.html
ZDNet の記事
http://www.zdnet.co.jp/news/0304/03/njbt_02.html


[ START! ] 2003/04/01(Tue)
4 月になりました。
毎回、月初めの Column を書くときはなんだか新品のノートにペンを走らせるような気持ちの良さがあるのですが、4 月は特にそれを感じますね。今日は桜もほどよく花開き、新しい生活の始まりに相応しい一日だったのではないでしょうか。私はというと、体調はかなり元に戻ってきたのですが、何故かテンションだけが上がりません(笑)。先週後半まともに仕事できなかった分の積み残しがあって憂鬱なこともあるけど・・・。
ちなみに今年のエイプリルフールは、ネタは準備してたというかだいたいできていたんですが、最後の仕上げをする体力がなくて間に合わず。来年また引っ張り出してくるのもしょうがないし、このままお蔵入りか・・・。


Microsoft が Windows XP での WPA のサポートを発表しました。
ZDNet の記事
http://www.zdnet.co.jp/news/0304/01/ne00_xp.html
「WPA」というのはまだあまり耳慣れない人もいるでしょうが、無線 LAN の新しいセキュリティ技術のひとつです。無線 LAN のセキュリティに関しては最近のトレンドでもあるので、ここは私自身の知識の整理もかねて簡単にまとめてみたいと思います。でもネットワークは専門ではないので、少し間違っているところがあるかも(笑)。

・WEP(Wired Equivalent Privacy)
http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/operation/wirelesswep/wirelesswep01.html
WEP は言わずと知れた無線 LAN の暗号化技術の代名詞ですね。40bit(64bit)、104bit(128bit)の二つがあります。40bit、104bit というのは暗号化に使われる文字列の長さ、64bit、128bit というのは実際の暗号化に使われるキーの長さ(暗号化文字列に「初期化ベクタ」(IV: Initialize Vector)を加えた長さ)のことです。一般的には 40bit WEP とより高度な 128bit WEP、といった感じで混同して使われてしまっています。
当初、40bit WEP では暗号強度としては不十分、と言われて 128bit WEP が登場しましたが、最近では WEP の脆弱性が発見されて 128bit でも不十分と言われています。また、WEP はそれ自身では定期的に WEP キーを更新する仕組みを持たないため、定期的・自動的に WEP キーを更新する仕組みや他のセキュリティ機能との組み合わせによってセキュリティを確保するのが一般的となっています。

・SSID(Service Set ID)
http://www.atmarkit.co.jp/fsys/special/005wireless_abc/wireless_abc01.html
SSID とは、各無線 LAN 機器が持つ機器(無線 LAN アダプタ、AP ともに)のニックネームのこと。Windows ネットワークにおけるホスト名(PC 名)に相当するもの、と考えればよいでしょうか。通常、PC を無線 LAN に接続する際も、無線 LAN アダプタに近くの SSID をサーチさせて、見つかった AP に対して接続処理を行う、という手順になります。
しかし、この SSID がクセモノで、通常は「ここにこういう名前の AP がいますよー」と常に自分から告知(SSID ブロードキャスト)している状態。要するに、誰からでも見えて誰でも接続することができる、という状態なわけです。クライアント側の SSID がブランクや「ANY」だと、どんな AP にでも接続できてしまうので、不正アクセスを防ぐためには AP 側の SSID はユニークな文字列を設定し、「ANY」やブランクの SSID からの接続を拒否する設定にします。また、根本的に AP が存在することを近隣のユーザーに知られないために、SSID ブロードキャストをしない設定ができる AP も存在します。が、WinXP SP1 ベースの Wireless Zero Configuration(OS 標準の無線 LAN サポート)では、近接する複数の AP が存在する場合には SSID をブロードキャストしている AP に接続してしまうため、
http://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;ja;811427
何らかの悪意あるユーザーによってアクセス先の AP をねじ曲げられる危険性があることを考えると、必ずしも SSID ブロードキャストは切った方が良い、とは言い切れないかもしれません。

・MAC アドレスフィルタリング
無線 LAN カードに限らず、全てのネットワークカードにハードウェア的に焼き付けられている固有のアドレスが MAC アドレスです。この MAC アドレスをフィルタし、許可していない MAC アドレスを持つネットワーク機器からのアクセスを禁止するのが MAC アドレスフィルタリングです。
ハードウェアに焼き付けられているアドレス、とはいっても少し知識のあるユーザーであれば書き換えることは可能(TCP/IP ベースの通信が普及する以前、ネットワーク機器の制御は MAC アドレスを用いていたため、MAC アドレスも後から変更できるようになっている)なため、MAC アドレスさえフィルタリングしておけば自分の許可したユーザー以外は絶対アクセスできない、というわけにはいきません。しかし、カード固有の MAC アドレスを知られてしまう可能性と、ブロードキャストした SSID を拾われてさらに WEP キーを解読される可能性を比較すると後者の方が圧倒的に低いと思われるので、一般的な用途であれば WEP キーを設定して SSID「ANY」を禁止し、MAC アドレスフィルタリングをかけておけばまず安心といえるでしょう。

・IEEE802.1x/EAP
IEEE802.1x はもともと無線 LAN というよりは VPN(Virtual Private Network)用に作られたユーザー認証プロトコルのひとつです。ネットワーク上の RADIUS サーバ(認証サーバ)に接続し、ユーザー ID・パスワードによってユーザー認証を行いますが、一般的に認証サーバが別途必要になるため、商用ホットスポットや企業での利用がほとんどになっています(その分、ネットワークポートごとのアクセス権認証ができたりと高機能)。EAP(Extensible Authentication Protocol)は IEEE802.1x のうち、認証周りのプロトコル部分を指して使う言葉です。

・WPA(Wi-Fi Protected Access)
http://pcweb.mycom.co.jp/column/hitech/hitech047.html
http://pcweb.mycom.co.jp/column/hitech/hitech048.html
WPA とは、大雑把に言えば WEP+IEEE802.1x+α、といった規格です。IEEE802.1x に基づいたユーザー認証、WEP によるデータの暗号化、そして TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)という一定時間ごとに WEP キーを更新するプロトコルを実装することにより、WEP の脆弱性を克服しています。信頼性に関しては、少なくとも一般家庭レベルでは WPA 程度の強度があれば十分だろう、とも言われています。IEEE802.1x と違い、AP 上でユーザー認証が行えるモードを実装していることも、家庭での使用が推奨される理由の一つでしょう。

・IEEE802.11i
WEP の脆弱性が発覚したのち、その弱点を補うことを目的に考案された暗号化技術。AES(Advanced Encryption Standard)を採用しているらしいですが、私はまだいまいち分かっていません(^^;当初、今年の 1 月には策定完了する見通しだったものが、事情により遅れているようです。ちなみに、WPA は IEEE802.11i のソフトウェア仕様の一部を先行して策定したものと言われています。


・・・本当に駆け足になってしまいましたが、基本的なところはこんなものです。将来的には IEEE802.11i に収斂していくでしょうが、WEP キーすら設定していないユーザーがまだまだ多いことを考えると、あまり複雑すぎる仕組みを採用しても却って使われないのでは、という危惧がありますね。
ここ一年ほどの間ですっかり IEEE802.11b は普及期を迎え、Centrino モバイル・テクノロジの登場でさらにその流れに拍車がかかりそうな現在。狭い日本の住宅事情を考慮すると、ちょっと周囲の SSID をサーチするだけで自宅以外に 1〜2 個の SSID が引っかかってきてもおかしくはないのが現状だと思います。WPA への対応は各ベンダまだまだこれからでしょうし、多くの機器ではファームウェアのアップデートを行わないと WPA には対応できないでしょう。が、SSID と WEP の設定を少し見直すだけでもずいぶんセキュリティレベルは向上するものです。新しい季節に、ひとつご自宅のネットワークセキュリティを見直してみてはいかが。

My Diary Version 1.21
[ 管理者:Brown Sugar 著作:じゃわ ]